花研コーヒーブレイク
VERTICAL GARDEN ~週末山口~
2018.01.30
週末は山口でした。「週末山口」と無理に四文字熟語にする必要もないのですが、何回か口にしているうちに合言葉のようになってしまいました。
さて、新幹線の新山口駅の通路に「垂直の庭」(VERTICAL GARDEN)と呼ばれる庭園があります。この垂直の庭を拝見することが山口を訪れた第一目的ではありませんでしたが、これは一見に値します。
フランスの植物学者パトリック・ブラン(Patrick Blanc)氏によって手がけられたもの。“垂直庭園”の概念を創出したアーティストでもあり、世界中、植生の異なる様々な場所において200もの垂直庭園プロジェクトの実績があるのだそうです。
今回のプロジェクトにおいては2013年から2年ほどかけて山口の里山に足を運び、丁寧に植生を確認、採取、増殖しました。また今回は“山口に自生する植物だけで”創った山口県オリジナルの垂直庭園。中には山口県の固有種もあるのだとか。その植物は約140種にも及びます。
完成竣工は2015年10月3日。新山口駅の南北自由通路、及び駅舎も新しく、ウッド調と白を基調としたデザインと垂直の庭が調和し、すっきりとしたシンプルさの中にも明るさと温かみを感じます。機能とデザインが両立した素晴らしい空間だったように思います。
折しもこの時期は真冬で丁寧に刈り込まれ、メンテナンスされた後。竣工当初のような青々と茂る様子とは多少違ったのかもしれませんが、やはり日の良く当たる場所は濃いグリーンが繁っていました。
↓冬季でよくメンテナンスされた壁面。このポケットに植物を一つ一つ植栽していきます。
いただいたパンフレットには植物の紹介写真と名前が掲載されています。
しかも、植物の名前はすべて学名付き。
ウラジロ Gleichenia japonica
シャガ Iris japonica
ヒトリシズカ Chloranthus japonicus
といった具合に使用されたすべての植物の学名が列記されています。“どこに何が植栽されているかマップ”も。
このような、細部にも力を入れた“作り”の丁寧さにも感動しちゃうな。
↓こちらのQRコードからは制作の様子を動画でご覧いただけます。8-9分くらい。植物が展開していく美しさなどもあり、お楽しみいただけますよ!
垂直の庭は山口の新名所ですね。
★制作ご協力されたパークコーポレーションparkERsさまの記事はこちら
ところで、こちらはその新山口駅前の銅像。
目はカッと開きつつも、お口は固く閉じて佇まれるこのお方。
どなたかと思いましたら・・・
なんと種田山頭火だったのです!
そうか、山口ご出身でしたか。防府市のご出身なのだそうで。
ご苦労が多かった方と。
「分け入つても 分け入つても 青い山」
「まっすぐな道で さみしい」
など、俳句といえども定型を崩し、一度読んだら頭から離れないかなり印象的な句を残しています。
銅像の下には
「まったく 雲がない 笠をぬぎ」
と刻まれています。自筆の復元なのだそうです。
山口へお出かけの際は「垂直の庭」をご覧になったら、山頭火にも会いに行ってみてくださいませ。