花研コーヒーブレイク
たまに役立つ外国語
2017.11.15
向いに100円玉を口にくわえた20代と思しき男性が座った。
地方に行く電車の中。4人の相向かい席。周囲には誰もいない。
「ここ座っていいですか」
と座る前に聞かれたので
「どうぞ」
とお答えする。
「一駅ですから」
(うなづく)
「邪魔はしません」
・・・
「来ましたね」
「?」
「あ、ポツポツ」
「あ~、そうでしたか」
ここで終わるかなと思ったら、また100円を口にくわえたかと思うと、手に取ったりくわえたりを繰り返しながら次から次と質問してくる。もうこれ以降に何を聞かれたか覚えていない。
チョット普通の雰囲気ではないと直感したのと、本を読みたかったこともあるので、とっさに
「すみません。私は日本語を話しません」
と英語で言ってみた。すると
「ああ、あああぁ・・・
ボク、一駅なんで」
と細かくうなづきながら、「一駅」を強調しつつ慌てるように立ち上がり、電車が徐行を始める前にドアの方に去って行った。
最初から“ちょっと違う”雰囲気があった。先方の問いかけに対するこちらの反応もイマイチ鈍かったことが奏功しただろうか。ちょっとほっとした節もある。
こちらはといえば日本語の本も手に持っていたし、短い言葉ばかりだが日本語もしゃべったし、服装を見れば日本人とわかる(と思うのだ)が、そこまで見ていなかったのかもしれない。それによくアタクシは一生懸命日本人であることをアピールしても大陸の国の人と間違えられる。例えば中国。中国に行くと中国人から暫く中国語で話しかけられるくらい。首を振りながら「中国語わからない」と言ってもなかなか伝わらないことがあった(笑)
そんなことで、「日本人ではない“振り”」に助けられた場面だった。
100円玉ボーイはたまたま英語のアレルギーがあったようだから助かったようなもので、いまどき英語なんて誰でも話せる。次回はこの手は使えないかもしれない。とすると、ギリシャ語かエスペラント語かなにかマイナー言語をもうひとつくらい話せた方がいいのかと考えさせられたハプニングでもあった。しかし、ギリシャ語では容姿と見合わない。それでもギリシャ語と判別されなければ全く問題ないか、実用的なところでいけばアジアの言語の方がいいか。なんでもいいけど外国語は身を助ける。そんなことを実感したハプニングだった。