花研コーヒーブレイク
第7回 ダリア総選挙
2017.09.26
今週は中央通路で年に1度の秋田県ダリア総選挙を開催中です。
ダリアの世界的な育種家である秋田国際ダリア園の鷲澤さまの育成品種のうち、どれをデビューさせるかを決める総選挙。今回は総選挙7回目。来年の秋にデビューする“7期生”を決めるために投票を募るものです。
今年の候補は全27品種。このうち2品種程度がデビューする予定なのだそうです。これらの(写真一部紹介)ダリアにはまだ名前が付けられていません。2度と目にすることができないであろうダリアがほとんど。
品種が決まるのは来年1月頃。来年の今頃には名前が付いて流通デビューする予定です。
いままで6回総選挙をして、28種が流通デビューしています。
それがこちらのNAMAHAGEシリーズ。
パンフレットでも一覧になっています。
今週ご来場の品種を一部ご紹介します。
NAMAHAGEビューティ↓
NAMANAGEキュート
NAMAHAGEソレイユ(ソレイユとは「太陽」の意味。確かに太陽のように爛々としています)
本日の展示ではありませんでしたが、5期生のNAMAHAGEオーブ。
実際にはこれほど茶色くありませんが、展開するほどに表情を変え、最後には同じ花かと思うほど変化します。花弁の表裏の色が異なるため、展開することに過食も変わり、露芯しますが、そのレトロな雰囲気も尚大正ロマンを感じさせ、独特な雰囲気を放ちます。露芯のダリアが受け入れられにくい中、露芯しても尚、価値があるというダリアの新しい価値を築いた品種といってもいいと個人的には思っています。
さて、同時開催が秋田県の大曲のダリア総選挙です。大曲のダリアも恐らく鷲澤さまの育成品種と存じます。(ちゃんと確認しませんでしたが、多分そうです)
候補14品種の中から2品種程度来年用に選抜します。
ちなみに、こちらはこれまでの投票で商品化した品種。
↓紫銀乱(むらさきぎんらん)
「紫銀乱」という花火が実際にある壮です。紫色の花火の最後に銀色が先に乱れる様子がこのダリアと似ているからなのだそうです。
↓雪紫(ゆきむらさき)
花火の光に照らされて色付く雪をイメージして(冬の花火ということですかね。雪上の花火とは風情があります)、地元の花火師によって名付けられたのだとか。
和火(わび)↓
江戸時代までの花火は燃焼温度が低いため、炭が燃えるときの赤橙色の花火しかなかったそうです。この赤橙色の花火を「和火」と呼んだことから、このダリアに命名されたのだとか。
八重芯(やえしん)↓
中心にある小さな芯から外側に向かって黄色、赤色と広がっていくのが特徴。花火では、3つの輪に見える花火を八重芯と呼ぶことから、このダリアにこのように命名。
紅遊星(べにゆうせい)↓
育種家の鷲澤様が「この紅色は今までになかなか出なかった」とのコメントと、自由に散らばる花火の星の動きにも似た波打つ花弁から地元花火師によってこの名が付けられたそうです。
顕芯(けんしん)↓
花火で燃焼がいったん消えたかと思うくらい見えなくなる現象を顕(けん)というそうで、それに因みこの名が付けられたそうです。
全国的にも有名な大曲の花火を思わせる、大輪で豪快な品種が多いですね。
また一つひとつの品種にストーリーがあって、興味深く愛着が湧きます。
実際、パンフレットでも大きな花火と並べて品種紹介されています。
ダリアの品種選抜は総選挙だけでなく、総選挙を元に話し合いの中で決めていくようですが、このような品種選抜の方法は大変現実的だなーと。
例えばオランダのトマトの話。
以前もご紹介させていた陀ことがあるかもしれませんが、オランダのトマト生産農家はどの品種を生産するか、マーケティング会社に消費者アンケートを依頼し、人気のトマトと上位10品種なら10品種と機械的に選んで生産するのだそうです。そこに、生産者さんが「好きだから」とか「オラが食べテーから」のような私情は一切介さないと伺いいました。
これが100%正解と言っているわけではありませんが、とてもシステマチックでありながら消費者の意見を的確に取り入れつつ効率を重視する点においては、オランダらしくてお手本になると思いました。
ダリア総選挙もそのやり方に一部似ていて、主催者さまは大変ですが良い方法と思いながら拝見いたしました。
弊社でも過去の実績から品種整理(どの品種を生産するか)をお手伝いさせていただくことがございますが、ダリアの投票ややトマトのアンケートのように、より実需者に近いところからのアプローチというのはとても重要だと思います。