花研コーヒーブレイク
おにぎりの具は納豆かチーズか、それとも・・・?
2017.09.12
「モノレールが止まって運転再開に見通し立たず。暫く会社に戻れません・・・」
と浜松町で足止めを食らった外出中のショチョさまから電話が会社に入る。
そこで大森駅までJRで来てもらいピックアップすることに。
ピックアップしたその車の中で、ショチョさま曰く、
「今日、出先で(自前の)おにぎりを食べたら、“あれ?今日の具は納豆だっけ?”と思うくらい糸引いたんだよね。
納豆じゃなかったんだけど。」
――あれま、チーズでもねぐで??
「チーズでもない。
納豆でもチーズでもなく、おにぎりが傷んだのだね。残念だったけど。
炊き込みご飯だったからよけいかな?まだ今の季節でも気を付けないとだね」
そんな会話があった当日、帰宅し何の気なしにテレビを点けたら、ちょうど林修先生の番組で“9月に注意したい食中毒”の特集をしていた。なんとタイムリー。(注:ショチョさまは食中毒にはなっていません。念のため)
小学生の遠足などでおにぎりを作って、温かくて蒸れるリュックサックなどに4-5時間入ったままだと、傷む可能性が高いので気を付けましょうという注意喚起。持参した食料が傷むということは、今の時期でも頻繁に発生するのでしょう。
つまり、“条件”が揃いやすいということ。おにぎりやお弁当が傷むのも、条件が揃うことで引き起こされる。常在菌やカビなどはどこにでも付着・浮遊していて、9月もまだまだそれらがちょっとしたきっかけで繁殖する環境にあるわけですね。
そこで、花を扱う私たちも注意する必要があります。花の品質が予想外に早く劣化するのも、おにぎりが傷むのと同じでしょう。“条件が揃う”とそうなってしまいます。
カビなどが付着して繁殖すると、日持ちが短くなりますので注意する必要があります。バケツやハサミ・ナイフの刃、作業台などはこまめに殺菌される方も多いと思いますが、そのほかにも一つ大切なこととして挙げられるのは室内の空気の循環です。(以前も小欄でご紹介しました)
空気を動かせば、空気は乾きますからカビは繁殖しにくくなります。
例えば生産者さまのところを訪問させていただくと、集荷場や作業場(花を収穫してきて選別したり、一時保管する場所)では人がいる、いないにかかわらずよく扇風機が回っています。つまり、花のために扇風機が回っているのです。空気を動かして、乾かして、ボトやカビの繁殖を防ぐのです。
前処理剤の入った水をよく吸わせて出荷するという意味もあるでしょう。空気が乾いていないと植物体の水が蒸散されません。植物の中の水が蒸散されないと、新しい水を吸いません。だから集荷場の空気を乾かして蒸散を促しているということですね。
花の色を染めて出荷される生産者さまも、花が色水を吸うためには水を蒸散しないといけませんので、空気を乾燥させます。湿度が高い時は蒸散しませんから、扇風機で空気を動かしているところを見たことがあります。
生花店さまでもとりわけ人がいなくなる夜間の空気の循環に気を付ける必要があるかもしれません。扇風機をつけるところと使えないところがあるでしょうが、もし使えるとしたらカビの発生率は違ってくるでしょう。
林先生の番組では、食中毒を防ぐには「菌を付けない・増やさない・殺菌の三原則を守る」ことが必要と紹介されていましたが、同じ生鮮品である生花についても同じことがいえます。「増やさない」という点で扇風機を使う→空気が循環する→空気が乾燥する→カビが増殖しないというサイクルで効果を期待できます。
おにぎりの具は納豆だったのか、チーズだったのか・・・実際にはそれ以外だったわけですが、花の品質管理についても考えさせられた車中の話題でした。
明日くらいから少し涼しくなるということでしたが、“夏は毎年やってくる”。ぜひ気温が高い時には、おにぎりの管理にも、花の管理にもご留意くださいませ。