花研コーヒーブレイク
海外情報からの刺激
2017.07.21
昨日、ある研修会でATJの朝山和代さまのお話を伺う機会を得て、オランダをはじめとする海外の花き事情につき幅広くご教示いただきました。
朝山さまはお話も上手ですし、美声で聞きやすく、何より内容が興味深くて、拝聴していてとても楽しかったです。
私たちが日ごろ英語のネットニュースでやっとの思いで得るような情報でさえも、そのニュースの渦中の人と知り合いだったりして、裏事情も含めよくご存じ。まさに立て板に水のようにさらさらとよどみなくスピーチされ、種苗、生産、流通個、小売り、海外取引、商品開発、マーケティングから国民のライフスタイルまで、全てにおいてそれはまあ、いろいろよくご存知で素晴らしかったです。
さて、その中のいくつかの内容について。
ひとつは、2015年、オランダでジャガイモの病気が突然変異でバラに転移したという話。
変異で生まれたた世界でも新種のウィルスがバラにうつってしまい、バラの種苗会社はかなり打撃が大きかったのだそう。未だ理由は特定できていないとのことですが、バケツの使い回し説が有力なのだとか。やはり生鮮品の取り扱いは衛生が肝ですね。
オランダに研修に行かれた方はご存知の方も多いのかもしれませんが(私は存じ上げず)、なんとオランダではガソリンスタンドの90%が花を販売しているそうです。切・鉢両方。ブーケメーカーが提案し、購入者便宜が充分に図られた商品がガソリンスタンドに陳列されています。もちろんお客様は車の人ばかりなのでサイズは小さいものから大きいものまで用意されています。販売チャネルを増やすことがいかに大切か教えられますね。いつごろから誰の仕掛けて一般的になったのか、今度深くお伺いしてみたいと思います。
現在、オランダで人気商材の一つはバンダ。生産会社が国内に1つあるのだそうです。写真を拝見すると輪売りで、ステムは短く、ピックなどを挿してブーケに使うのだそうです。定番のピンクや紫ばかりでなく、濃いシックな茶色などのバラエティもあり、デザイナー受けしそうな品種がたくさん。
そういえば、先日小欄で「ウィンブルドン・フラワーズ」としてご紹介した女子決勝の花束にもバンダがメインで使われていました。ヨーロッパで人気の花なのかもしれません。
輸送の点では、オランダでも乾式が見直されているとのこと。縦箱は箱内の湿度が高くなることと、積載効率の点から、乾式がいいのではないかという機運が盛り上がっていると。
品種バラエティなら日本のマーケットが世界でもトップクラスといえども、朝山さまのお話とともに流れていくスライドを拝見しますと、日本にはない創意工夫されたアイディア商品・素材がたくさん見受けられました。
多肉植物の売り方、コチョウランの仕立て方、新しい染め・ラメ商品の提案など、発想豊かで、且つ完成度も高く、マーケット開拓の上でヒントをたくさん見出すことができます。
今や美的感覚はSNSなどによりユニバーサルに共有されますから、もし国内でも同じような商品が実現できれば消費の刺激になりそうです。スライドの中で見たことのないようなアイディア商品を拝見し、ソフト・ハードともに次々と新しいものが提案され進化するオランダに比べれば、日本国内のマーケットは幾分パターン化してしまったのかなという感覚を覚えます。
オランダのことで何かわからないことがあったら、ホットラインは朝山さまですね。
ちなみに朝山さまは中目黒に生花店「カドーチェス」をオープンされました。オランダ語で「小さなギフト」という意味だそうです。中目黒駅を降りてすぐ。今度伺ってみたいと思います。
それではみなさま、良い週末をお過ごしくださいませ。