OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

全自動洗濯機か洗濯板か

2017.04.20

こんばんは。今日もお疲れ様でした。花研ブロガー2号です。

すみませんが、今日はチョット辛口トークでいきます。口を酸っぱくして言っちゃいます^^

 

今日はいくつかのメディアからお問い合わせが集中した日でした。母の日前ということもあるでしょう。

質問は様々ですが、その中の一つが切りアジサイの水揚げ方法についてでした。

農研機構市村先生の新著「切り花の日持ち技術」を元に、「少し切り戻して、切り花栄養剤を使うのがいいでしょう。水切りも必要ありません。」とお答えしました。

しかし、予想していたことですが、質問されたメディアの方はその答えに満足されませんでした。期待していた答えは違うものだったのです。とはいえ、私どもはアジサイの水揚げについてそれ以外の答えを持ち合わせていません。2017年を迎えたこの日本において、これ以上に良い方法はありません。

そのメディアの方がどのような答えを期待していたか、およそ察しがつきます。昔、切り花栄養剤がなかった時代に生花店さんが行っていらしたようなこと、もしくはおばーちゃんの知恵袋的な内容です。

例えば、

「茎をバーナーで焼く」・・・生活者のみなさまはその必要はありません。生花店さんも必要ありません。生活者にとっては面倒ですし、第一に危ない。ガスコンロがないご家庭もあるでしょう。ただ、生花店さんがご自身の信念でイニシエーションのようなものとして行うならいいでしょう。しかし、他人に広めるものではありません。

「アジサイの枝を叩く」・・・逆効果です。枝の組織が壊れて水が吸えなくなるばかりでなく、生け水が汚れ導管を詰まらせます。

「アジサイの茎を斜めに切って、茎芯にある綿状の組織を取り除く」・・・これはプロの技術です。生花店のみなさまは実践されている方も多いです。実は私もやります。しかし、これは生花店さんの技術であり、一般の生活者のみなさまに広めるものではないと考えます。生活者のみなさまがフローリストナイフを持っているとは限りませんし(その確率の方が低い)、こちらも極めて危ない。私も初めて自分でやってみたときはチョイト怖かったしネ^ ^;

またエビデンスが不十分であることから、逆効果とアドバイスされる方もいらっしゃいます。

さらには毎日水を取り替えましょうなんて流れになったら、ナンセンスこの上ない話です。チョコッと切り戻して切り花栄養剤を使うことが、長い間、美しく開花した花を楽しむことができる最善の方法なのです。毎日水を取り替えるまでもありません。

「でも、切り花栄養剤はお金がかかるから勧めたくない」・・・お料理のレシピを紹介するときに、“こんな調味料があるといいですよ”といろいろ市販されているものを紹介しますが、それと何が違うのでしょうか。あるいは、“鶏肉の味付けはビニール袋に入れて、調味料と一緒に一晩浸け込んで」なんていう話もよく聞きますが、そのビニール袋は買うものではないのでしょうか。もしくは、生け水に台所漂白剤は勧めるけど、切り花栄養剤は勧められないということなのでしょうか。

さまざまな矛盾が発生しています。

 

危険な方法や効果があるかどうかも証明されていない内容を生活者向けに放送するというのは、放送倫理にも関わってくることですから、私どもはそのような内容を無責任にご紹介するわけにはいきません。

むしろ、花業界の消費が低迷し続けているのは、このような根拠のない内容が、ブログやSNS、動画を含むさまざまなメディアで広められているからではないかと思ってしまうくらいです。(被害妄想です・・・笑)

 

花の日持ち技術も日進月歩です。その研究に基づき民間企業が(しかもオランダやアメリカでも)最も効果的な栄養剤を研究し、各社から販売されています。その吸収を良くするための促進剤も販売されています。

それらの文明の利器を無視して、台所漂白剤を使いましょうと言おうものなら、まるでポチッとなで乾燥までしてくれる全自動洗濯機があるのに、全ての洗濯物を洗濯板で洗っているようなもの。いやそれ以上の話かもしれません。

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根拠のない都市伝説や生活者のみなさまにとって危険な内容、あるいは毎日水を取り替えましょうという努力説はもうおしまい。生活者のみなさまに広めるのはやめましょう。メディアへの接点のある方は、そのような方法は花のマイナスプロモーションになりかねないということを認識していただきつつ、情報提供をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

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