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書籍のご紹介『大地の五億年』

2017.03.21

「土」がいつ地球に誕生したか・・・なーんて考えたことありますか。

ある方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、正直に申し上げますとアタクシ、全く考えたことありませんでした^ ^;

何が元で生まれたのか、地球の歴史の中で何がきっかけだったのか、この本を読むまでそれほど土に興味を持ったことすらありませんでした、ほとんど。このような仕事に就いていながら、胸を張って言えることではありません。もちろん恥ずかしいと思っております、ハイ。すみません。

せいぜい日本の土壌は基本的には酸性であることや、いつぞやマレーシアに行ったときはやたら赤土が気になったり、クロアチア辺りの上空から大地を見下ろしたときは、乾いた白い岩盤がごつごつしていて植物が育ちにくそうだなーとか(本当はそんなことないのかもしれませんが。つまりそれは土ではありませんし)、そのくらいしか興味を持ったことはありません。

ところが、たまたま手に取った1冊の新書が開眼してくれました・・・といっても過言ではありません。多分。

『大地の五億年 ~せめぎあう土と生き物たち~』

ヤマケイ新書(山と渓谷社)

著者:藤井一至氏

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「土」という字は、上の横棒が地表面を表し、その上に突き出ている縦棒が植物、下に出ている部分が根、下の横棒が植物や生態系を支える基盤である・・・という漢字の成り立ちも冒頭で説明される。もうここでなるほどと頷かされるわけですが、もうその頷きは本書を読みきるまで続くのです(最後には首が痛くなりますよ、きっと!)

地球は46億年前に誕生したことが定説となっているが、その時はもちろん土はなかった。植物が地上に登場した5億年前もまだ土壌は存在しなかった。この頃、地衣類・コケ類、次にシダ類が誕生し、それが光合成によって二酸化炭素を固定する。それらが死ぬと多くは微生物や動物に食べられるが、その一部が残って「腐植」として土となっていくというわけです。私たちが馴染のあるピートモス(泥炭土)もこれが蓄積したもの。

 

しかしまあ、46億年前だの5億年前だの言われてもピンと来ないのが正直なところ。そんな鈍めの感覚も良くわかってくれているようで、次のようにわかりやすく言い換えてくれている。

・・・以下引用P.15・・・

「46歳の地球おばさんが5年前に家庭菜園を始めて、1年前から働いていた恐竜兄さんが半年前に失踪し、10日前生まれたばかりの小人たちが大規模な温室栽培を始めた。これが人類である。」

・・・引用終了・・・

なんだか受験用の暗記の方法を伝授されているような錯覚に陥りますが、時間感覚は実はすぐ頭に入ってしまった。このような角度で解説できるということは、もしかしてひょっとして若い方?と思ったら、やはり1981年生まれの先生でした。

森を食べ尽くす体重70トンのブラキオサウルスの話、彼らはそんなに大きな体でありながらどのように草食からエネルギーを得ていたのかという話題や農業が盛んになった江戸時代、人の糞尿は大切な肥料になった話。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』には、京都の清水寺に旅した際の記録として、1回のオシッコが大根1本と交換される様子が描写かれているって。江戸のふん尿取扱業者は、ふん尿を5段階に格付けして取引していたのだとか。

 

人を意味する英語humanは、「腐食」を意味するhumus、つまり「土」からきていると筆者は言う。そういえば旧約聖書では「アダムは土くれと息吹から神が作った」とされる。

日本語でも、人があの世に旅立つことを「土に還る」と言うことがある。都会生活では土との接点がないに等しい人も多いが、実は土なしでは人は生活できない。本書では、5億年もの間、植物、昆虫、恐竜、そして私たち人類を養ってきた土に関する競争と共生を巡る旅が繰り広げられる。

新書であっという間に終わってしまうドラマのようですが、ぜひじっくり読んでみたい本です。

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