花研コーヒーブレイク
新しいスナップ ・・・の表情
2017.03.20
小欄の3月6日にご紹介させていただいたスナップですが(ブログはコチラ)、スナップの性質上、花が下から上に開花していくので、花序の上の方が開花してくると自然に下の方は花期を終えて茶色くなっていきます。
そこで、水替えをする際に(ほとんど水替えはしないのですが、スナップはとてもよく水を吸うので、水がなくなりそうになったときに深さ1cm位残った水を捨てて新しい水を並々と入れるといった具合です。その際・・・)、下の方の茶色くなった花を落としていました。
ついに草丈に対する花序のバランスを取るため茎下を切り、全体を短くして背の低い花瓶に生け替えました。
するとなんだかなかなかこれも乙ではありませんか。
スナップ独特の透明感のある花色を残しながら、アジサイかエピデンドラムかのような丸いドーム型をつくっています。これならちょっとしたブーケに入れても埋めの素材になっていいですね。
もしくは、生長点が徒長してルピナスのような雰囲気を持つものもありました。
アタクシとしてはごく当然の手順を踏んだまでだったのですが、思っていた以上に周りの人や従業員の注目を集めたようで、生産地や品種などを聞かれたりしました。
これは決して新しいスナップの品種ではなく、従来品種の新しい表情です。(多分・・・新しいとも思っていないのですが、周りの人はそう言う)
つい最近まではスナップも仏花扱いだったという印象をお持ちの方も多くいらっしゃることと思います。しかし、このようなスナップの表情を見ると、スナップの様々な可能性を感じずにはいられません。この形にしたのは3月16日、撮影は3月20日。これからどのくらい日持ちするかも観察してみたいと思います。
花弁が傷みやすいことや圃場の回転率を考慮すれば、出荷者さまが穂先まで開花させて出荷するのはかなりハードルが高いことと存じますが、生花店さまからの提案材料になる可能性はあります。
ポイントは糖度の高い切り花栄養剤を使用することです。
切り花栄養剤を規定量入れたときと、あまり入れなかったときで開花した花色と艶、花サイズが異なり、1本のスナップでも花色が地層のように変わっていったので、穂先まできちんと咲かせるようにするには、切り花栄養剤をしっかり使うことが重要だと思われます。
スナップもまた、ちょっとした見方の変化で新しい魅力が開発され、既存の切前や規格に捉われない可能性を秘めていると思います。