花研コーヒーブレイク
日持ち保証 日本農業新聞2月8日付け
2017.02.16
少し前になりますが2月8日付の日本農業新聞の紙面2017年の花き販売のトレンドの記事によると、業界の人へのアンケートでの日持ち保証制度が花の消費拡大に繋がると回答した人が63.2%。国産花きに求められるキーワードは「日持ち」が全体の2位。日持ち保証という切り口から消費拡大への期待度が伝わります。
まだ私がこの業界に足を踏み入れる前、チョットの間だけ英国で過ごしていました。もう15-20年近く前になるでしょうか、計算したくないのでざっとです。
近くにはウェイトローズというスーパーがあり、家から徒歩で行ける唯一のスーパーだったので、愛用していました。
ある週末、英国のご家族のホームパーティかティータイムだったか(忘れた)に呼ばれ、さすがに手ぶらで行くのも良くないでしょうと花を買っていくことにしました。しかし、学生の身でアルバイトもできず収入ゼロ、貧乏生活のアタクシにとって、出費はその金額の多寡にかかわらず逐一痛いもの。フローリストで花を買えば5,000-10,000円という情報を得てひるみました(今となってはもう少し安いのかもとは思いますが)。日曜日になれば、市街で青空マーケットをやっていて、バラ10本で5-10ポンドで販売していましたが、お呼ばれしたのは土曜日なので、その手は使えません)。そこでウェイトローズでちょっとした花を買って行くことにしました。英国のスーパーには入口に素人目には華やかな花束がいろいろと置かれていたので、それで用が足りると思ったのです。
花に関してほとんど知識のないアタクシは、その時何を基準に花を選んだかというと、”Two weeks guaranteed!”というスリーブに付いていたシールです。
「へー、こんな風に何日(観賞期間を)保証しますなんてシールが付いているんだなー」と思ったことを覚えています。
最初に手に取ったバラかなにか、よく覚えていませんが、その花は見た目で選びました。しかしよく見ると、スリーブに5日程度のguaranteeマークが付いていることに気付き、
「いや、ちょっと待った。guarantee期間が長い方がいいじゃないか」
と思った瞬間、花の顔ではなく、スリーブのシールを見て選びはじめました。次に手に取ったのは10days guaranteedとシールが貼られた花束。(これも何の花か忘れました)さらに長い日持ちが保証されたものを見つけ、最後にはguarantee期間が最長だったtwo weeks guaranteedのシールが付いたスリーブを持ってレジに向かいました。
その花が何だったかというと、白いユリです。
(うーん、two weeksはスプレーマムだったかな~。多少の記憶違いはご勘弁ください。とにかく最終的に購入したのは白いユリです)
そして、のちにこの業界に入り、それが大失敗だったことに気付きました。英国ではダイアナ元妃の棺に白のテッポウユリが添えられたように、白いユリは悲しみを意味する花であるケースが多いことを学んだからです。多分私がかったユリはオリエンタルではなくテッポユリだったと思います。どう考えてもオリエンタルの価格ではなかったので間違いないでしょう。
そんなことも知らずにアタクシはguarantee期間だけで選んだ花を持って訪問してしまったわけですが、今考えたらお招きくださったファミリーは気を悪くしていらしたかもしれません。
(この話、人生で初めて懺悔します。この場を借りて、すみません)
アタクシが外国人であったことと(当時は)まだ若かったことで「英国の常識を知らないのね」と許してもらえたのかもしれませんが(許してもらえてないかもしれませんが)、未だに思い返す度に赤面するというか、相手の心情を思うと胸が痛いというか、申し訳なかったというか・・。日本で言えば、“外国人を自宅に招いたら、シロギクの花束を手土産に持ってきた”というようなイメージでしょうね。
アタクシがこれまで花を選ぶ際に、日持ち保証期間の点から花を選んだのは、後にも先にもその1回だけです。
この英国の売り場とその時の自分のハズカシ体験、及び思考回路を今回顧し、思うことは「日持ち保証の売り場」を作ることが重要なのではないかということ。
デザイン性の高い生花専門店では、色々な花を組み合わせアレンジして販売するので、日持ち保証が機能しづらいことは想像に難くありません。しかし、専門店さんでもオリエンタルユリだけ1-2本、チューリップだけ3本パック、バラだけ3本パックなど、単一品目をスリーブに巻き、お得感を出しながら販売しているところはあります(単品売り)。そのような売り場であれば、大いに機能するでしょう。あるいは、無人のスーパーマーケットや量販店、県のアンテナショップのような特産品売り場でも単品売りは実現可能ではないでしょうか。
その時に、単品売り1-2種類に保証マークを付けるのではなく、“日持ち保証コーナー”くらいのイメージで一帯の商品群に保証を付けるといいかもしれません。
つまり、今ある花売り場に日持ち保証を取り入れていくのではなく、日持ち保証を切り口とした売り場を作ることが必要なのではないかと、徒然に思ってみるのでした。・・・どうもすみません。