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花を詠った古典【正月:マツ】

2011.02.09

厳しい寒さが続く昨今ですが、 寒い冬でも針葉を落とさず常緑で樹齢が長いことから、人々がそこに生命力と神秘性を感じて昔から神聖視してきたのが松です。

 

『常陸国風土記』には「松の木の上には天より立速男命(たちはやおのみこと)という神が降臨した」と伝えられます。

神の依り代(よりしろ)と言われ、正月には年神様が降臨する際の目印として、迷うことなく家にお迎えできるよう門松を飾ります。

 

 「辛崎の待つは花より朧にて」(芭蕉)

薄明かり に照らされた琵琶湖の水に映る辛崎の松は、朧月夜の花よりも風情があっていいものだと詠われています。

  

「冬寒み後にしぼむというなれど 変わらざりけり松の緑は」(『古今集』)

 

pinetree冬の寒さにも強く、常緑、不変、神聖、長寿など縁起の良いことの象徴とされる松は、松竹梅と並べられても最もランクが高いように、昔から日本人の心の拠りどころにもされるほど大切にされてきた樹木です。

冒頭にも記しましたが、「寒い冬でも針葉を落とさず」=「信用を落とさず」とはなんとも縁起がいいではありませんか。

 

松は一般的には針葉を触ってみて痛い方が◎。

 

最後に香りはどうかというと、針葉や球果(松ぼっくり)、樹脂からは森林の香りに似たシャープで清々しい芳香を放ちます。これは精油に含まれるテルペン類などの揮発性物質によるものです。ターピネオールという強い殺菌作用の成分も含まれます。

 

 

市場では正月用に主に若松やクロマツ、五葉松 が出荷されます。

どれを選ぶかはそれぞれですが、平穏な1年を迎えるためにはマストアイテムです。お正月が終わった今でも、縁起物として飾っておきたいですね。

 

 

 

(「ここほれわんわん」花暦カレンダー2011年1月のコラムを基にしています)

 

 

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