花研コーヒーブレイク
花を詠った古典【節分】
2011.02.03
2月3日は節分の日。「節分」とは書いて字の如く、旧暦における季節の分かれ目を意味し、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指します。現在においては、とりわけ立春(2月4日)の前日を節分と呼びます。
では節分にまつわる植物を詠った古典を紹介します。
柊(ヒイラギ)といえば、節分の植物ですね。鰯の頭を焼いて柊の枝に挿し、戸口などに吊るします。
柊はモクセイ科の常緑小高木で、高いものは8メートルにもなります。書いて字の如く、冬の季語です。
景行天皇が倭建命(やまとたけるのみこと)に東征を命じたときに賜ったのは「比比羅木之八尋矛(ひひらぎのやひろほこ)」と古事記に記されていますが、トゲトゲの葉が邪気を祓う縁起物とされて来たのです。
『土佐日記創見』には「柊は四時不変にして、玄関に雪を消す陽木なれば 初春にものせんこと 尤(もっとも)よしあり」とあり、厳寒期の“陽木”と称されています。
節分の邪気祓いについては、近世の歳時記である『山の井』に「外面には鰯の頭と柊を、鬼の目突きとして差出し」とあり、鬼撃退逸話の浸透ぶりが見て取れます。
また、近松の『重井筒』にも「鬼も来るなと柊や」とあり、冬には鬼退治の霊力があるという認識は古くから変わらないものとわかります。
このように柊には大地も凍てつく寒い冬の縁起物、また鬼退治の霊力があるとして、古より種々の歳時記類で取り上げてきたのです。
ちなみに鰯を使うのは、臭い鰯は鬼が嫌がるものとされていたからです。
節分には「福は内、鬼は外!」と言いながら豆まきを行いますが、花き市場で豆まきを行うときは「福は内、大荷(おおに)は内!」といいます。