花研コーヒーブレイク
中央通路はバラ盛り!
2016.10.26
中央通路は国内のバラ大産地の一つである静岡県産のバラに包まれています。
市場に流通するバラの品種数は700-1,000種くらいと試算されます。(毎年新陳代謝を起こし、うち1-2割は新しい品種に生まれ変わっています。)
静岡県産の赤バラ、スタンダードタイプだけでもこれだけ品種を持っています。
カップ咲きの“グランドジュビリー”は静岡の新品種。
中でもユニークなのがこちら。エキサイティングメイヤン。
「アタシ、エキサイティングしちゃいました」みたいな花姿です。
花序からまた花序が飛び出ていますが、貫生花(かんせいか)という突然変異を固定したものです。(『花研手帳2015』P.44 業界最新キーワード参照)
ベルギーの画家で植物学者でもあるルドゥーテがバラの貫生花の様子をつまびらかに描写していますが、貫生花の現象はバラだけではなくあらゆる花に変異として現れます。大田市場でポンポンギクを買われた仲買人の方が、「突然、花の上にもうひとつ花が出てきた!」と写真を送ってくださったことがあります。
バラのエキサイティングメイアンもこのような現象を固定して誕生した品種というわけです。
■ピンク系
季節的にお勧めなのはこちらの“ハロウィン”と名付けられたバラ。秋色ピンクのニュアンスカラーが人気です。
そのほかのピンク系。
チアガールアプリコット。スプレータイプです。
シュペーブ。静岡のオリジナル新品種です。良い香りがします。
モエリー↓。こちらも静岡のオリジナル品種。スプレータイプ。香りもGOOD。
オール4ハート+。↓コロンとした優しい形と淡い色味がデザイナーさんたちにも大変人気の品種です。
ドリームライナー。ピンクと淡いグリーンのバイカラーが素敵です。
■白系
左がインペリアルウェディング、右がロリアン(静岡の新品種)。
■グリーン系
ライム↓。こちらも長年人気の品種です。
エクレール。スプレータイプの小輪です。花も可愛いけど、ツボミもかわいい。グリーンの実物(みもの)のようにも。
ぬぁんとこちらもバラ。花序に当たる部分は、本来の花ではなくガクが発達したものです。
■イエロー系
カタリナ↓。カップ咲きでスプレーとスタンダードがあります。写真は随分と開いていますが、コロンとした花姿がとてもかわいく人気があります。
■染め系
昨日の染めものコラムに因み、バラの染め品種はこちら。
スカイブルーやロイヤルブルーに染められたバラは、一流のデザイナーさんの手に掛かると本当に上手に使われるものです。
ベンデラブル↓。バラのベンデラ(白)という品種を染めたものです。
アバランシェブルー↓。バラのアバランシェ(白)という品種を染めたものです。
ベンデラロイヤルブルー↓。同じベンデラでも、「青」を変えると随分と雰囲気も変わるものです。
青だけではありません。七色にも!今まで染めのバラとえいえば輸入品のイメージがありましたが、国内の生産者さまも染の技術を習得されて、きれいな品種をご出荷されています。
ルージュベンデラ↓。ベンデラを染めたもの。
ルージュアヴァランシェ↓。アヴァランシェを染めたもの。
ベンデラは白のままであまり国産の流通はありませんので、もしかすると染め用にベンデラを作付けしていらっしゃるのかもしれません。ベンデラは何か構造が違うのでしょうか。染めやすい何かがあるのだと思います。
ちなみに、アタクシ、花研ブロガー2号の好みの品種はこちら。(←「2016年10月の好み」という意味です)
↑リトルウッズ(左)とホワイトウッズ(白)
いずれもすんごい小輪。お隣のスプレー品種と比べてもこの差です。
生花店には周年バラが置いてあるため、バラをご自身で栽培しない限りはいつが旬なのか忘れてしまいがちですが、実は春と秋。とりわけ、市場に流通するバラは、暑い夏を過ぎて、気温が下がり1か月ほどしたちょうど今頃、秋が最も品質が充実して、良いものが流通する瞬間なのです。
この時季のバラを買わずして、「バラ好き」と自称すること勿れ!ということですね。ぜひ旬のバラをお楽しみくださいませ。