花研コーヒーブレイク
世界一カスミソウを売る男性(オトコ)
2016.10.19
10月18日(火)に開催されたJFMA(日本フローラルマーケティング協会)様のアフタヌーンセミナーで、大変ユニークな方の講演を拝聴することができました。
なかなか都合がつかず、JFMA様のアフターヌーンセミナーに参加させていただくのも久しぶり。その案内には「カスミソウを1日5,000本、1年で140万本販売、世界一カスミソウを販売する“いわい生花”代表取締役岩井正明氏の講演~」とある。
いくらなんでもそのカスミソウの数量は・・・?!そんなバナナ・・・(*_*; にわかに信じがたい。そこで全ての業務を投げ打って(!)岩井社長のビジネスモデルを伺いに出席させていただいたわけです。
内容全て記すことは控え、以下にごく一部をご紹介させていただきます。
【経営ポリシー】
・いわい生花様は栃木県鹿沼市に生花店4店舗を構え、そのすべての店舗においてカスミソウを中心に販売。
・販売エリア、商品を絞りこみ、9万人の商圏でカスミソウを販売。「世界一カスミソウを売る店になる!」と決意。
・カスミソウに関連しているものしか販売しない。売るものも売らないものも、すべてカスミソウ中心で決める。それは切り花栄養剤や花瓶、リボンに至るまで。
・今後時代が変わっても、売り方を変えるだけでカスミソウは譲らない。
・自らを“カスミソウ王子”と呼び、独自のマーケティングで地域一番店を目指す。
・このマーケティング手法で根性営業や価格競争から解放され、売上を伸ばす。
・結果、全国商業界POP大賞を2年連続受賞、栃木県の躍進企業ベスト20に2年連続選出、スーパー陳列大賞受賞など、多くのメディアにも注目される。
・メディアに取り上げられ、その広告宣伝費用に換算すると3,500万円分に相当。
【なぜカスミソウ?】
・カスミソウの生産、取扱いが激減していることを知り、何とかならないかとカスミソウに注目。
・大手生花店は華やかなものを販売するから、カスミソウには手を出さないだろう、カスミソウなら地域で独り勝ちできると踏んだ。
・「ロマンティックカスミソウ」と商品名を付け、7色のカスミソウを展開するなどカスミソウのブランディングに成功する。
【POPと陳列】
・癖字で読めない文字を書く人をPOP作成部隊に任命。
・花束を作る時間よりPOPを作る時間を割く。
・インパクトがあり、商品、イベントに合った言葉を添える、「喋るPOP」→お客様に語りかける口調で、などいくつかのコツを押さえる。
・陳列は海外のスーパーマーケットや生花以外の専門小売店等から学び、“タワー陳列”を実践。インパクトがあり、買い気を煽る。
【その他】
・東京のモデルのプロダクションに問い合わせ、地元出身のモデルを起用。「いわいかすみちゃん」として広告塔に。
・地元の路線バス4台をジャックして、車内は全ていわい生花様の広告。
・ネット販売は楽天、yahoo、baseの3本柱。
こうして80分お話を伺っていると、不思議と岩井社長がカスミソウ王子に見えてきますし、ピーク時で1日に5,000本カスミソウ販売というのも理解できるようになります。岩井社長がなぜカスミソウに着眼し、どのようにご商売を組み立ててご尽力されてきたかが見えると、カスミソウがそのくらいも頷けるというものです。素晴らしいビジネスモデルです。
しかもそのモデルやマーケティング手法は、どなたかから学ばれたわけではなく、全てご自身の思うようにやられたというのがまたスゴイ。
市場流通品種22,000種ある中で、カスミソウだけに目を付けてそれ以外はやらないというのが、実はかなり効率的な経営になっているのではなないでしょうか。全国画一的な販売・マーケティング手法よりも、ローカルで強い小売業は時代の流れに沿った戦略ですねと、JFMA会長の小川先生(法政大学教授)もおっしゃっていました。
「カスミソウ以外でいけば、恐らく〇〇〇(←品目名)だったらその花だけの専門店としてうまくいく可能性があると思います」
岩井社長はカスミソウの成功モデルをほかの品目でも応用できることが見えていらっしゃるようでした。それでも“カスミソウは譲らない”そうです。信念を感じました^^
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セミナーを企画してくださりJFMA様にも御礼申し上げたいと思います。