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農業改革で花き市場の経由率はどうなるか?~10月11日の続き~

2016.10.13

農林部会長の小泉進次郎議員は農産物流通をシンプルに効率化するよう推し進めていらっしゃいます。

わたくしたち花き流通に携わる者としても、是非効率化が進み、生活者にとって花が買いやすくなり、また生産者のみなさまのお手元には、更に所得が残るよう、能動的にしくみを変えていきたいものです。

 

さて、「流通をシンプルに」という言葉の意味合いが、中抜きや6次化産業の活性化を直接意味することがあります。

生産者さまご自身が販売力を強化され、6次化産業が活性化されるのは大変結構なことだと思います。

では、農産物流通の効率化が図られたとしたら、花きの場合、いわゆる“中抜き”が進み、今後市場経由率が低下していくでしょうか。

 

答えはNOです。

 

なぜなら、花き卸売市場は究極の効率化を図った社会インフラだからです。

花きはほかの農産物や生産品に類を見ないほど、品目品種が多様です。また、生産側も販売側も他の生鮮品ほど1軒の規模は大きくありません。花き市場の存在は、それらの間に立ち流通を効率化しているのです。

例えば、生産者さん3件A,B,Cがそれぞれバラ、キク、カーネーションを生産しているとします。

一方で、生花販売店3件X,Y,Zがあるとします。

生産者さんABCは販売店さんXYZそれぞれに出荷すると、取引の回数は9回になります。この取引に伴う業務は花を出荷するだけでなく、その後の集金やトラブル対応など、各生産者さんはXYZ店に対してそれぞれに行わないといけないのです。

万が一、X店さんの支払いが悪くなったら、たちまちその集金に時間を取られ、生産に集中できません。それが元でYZ店に出荷ができなくなってしまえば、生産農家を続けていくことすらままならなくなり、経営難に陥るリスクも十分あります。

しかし、ABCとXYZの間に卸売市場が介在することで、9回の取引は6回に減り、且つ支払いやトラブル処理も卸売市場が代行しますから、生産者さんは生産に集中することができます。

これこそまさに市場流通の効率化といえるでしょう。

生産者さんと小売店さんの軒数が多い花き業界では、その分卸売市場が果たす効率化も大きくなるというものです。

たとえ一部で直販が有効に働いたとしても、それが全体に広がることは考え難いでしょう。もし全体に広がったとしたら、それは取引の非効率化を引き起こし、むしろ花き産業の停滞になりかねません。花き卸売市場に代わる、似たような役割を持つ第3の存在が台頭したとしたらまたそれは別の話です。

しかし、花きの場合は流通の効率化に伴い市場機能がいかんなく発揮され、むしろ市場経由率は高くなると弊所では考えています。

 

 

それではみなさま、良い週末をお過ごしくださいませ。

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