花研コーヒーブレイク
銀座メゾンエルメス 展示フォーラム
2016.09.19
先週は小欄でエルメスのショーウィンドウをご紹介させていただきましたが、今週末は9月16日から始まった銀座メゾンエルメス8階“フォーラム”の「ミシェル・ブラジー展」を拝見してまいりました。
ミシェル・ブラジーさんとはモナコ生まれのフランス人アーティスト。業界ではかなり有名な方のようですが、日本で個展を開催されるのは初めてのようです。
彼の作品の特徴は、常に美しいものだけをクローズアップするのではなく、生と死や物事の美醜など、常に表裏一体としてある命のサイクルがありのままに表現されている点なのだとか。
この度拝見した作品の一部をご紹介させていただきたいと思います。
(写真撮影の許可をいただきました)
こちらの作品タイトルは「ほうきになるほうき」。(壁の作品名は「青く剥がれた壁」)
ホウキモロコシというイネ科モロコシ属の植物。その名の通り、ホウキ(箒)製作用に栽培され、ホウキモロコシで作ったホウキで畳を掃くと草が持つ油分で艶が出ると、江戸時代頃から畳の多い関東圏を中心によく使われました。(一方、関西圏では板の間が多く、それに適したシュロが多く使われたそうです)
次はコチラの作品。
この毛細血管のように広がる光るラインを、茶のカーペットに縦横無尽にどなたが描かれたと思いますか。(ヒント:人間ではありません。自然(NATURE)に宿る、ある生物です)
正解は・・・
カタツムリちゃんです。
作品タイトルは「カタツムリを放つ」。
作品に使用したものは「カーペット、カタツムリ」の2点。
ガラス越しに取り込んだ銀座の光が、カタツムリちゃんの足跡をキラキラと照らしていました。
こちらはエスプレッソマシンやゲーム機、靴など日常のコモディティから雑草。
雑草と見せかけつつ、実は高価格で取引される多肉植物なんかもさりげなく入っていました。
「ワインを飲む壁」。
一見何の変哲もないように見えるかもしれませんが・・・
実はこの作品、壁にワイングラスが埋まっていて、そのグラスには本物のワインが注がれているのです。
ネズミにかじられた跡がアートに。木の板にチョコレートやバニラのデザート、卵、コンデンスミルク、パンくずなどを塗ってネズミにかじらせたということのようです。芸術家は発想が違いますね。
スタッフの方に伺ってみると、2016年のエルメスのコンセプトは「自然」。
そのテーマに合わせて、展示会が催されたり、商品がデザインされたりするのだそうです。NATUREも自然なら、生死や美醜も自然だということでしょう。
この「自然」というテーマ、最近花業界でも草花がよく売れたり、シャンペトルのようなデザインが受け入れられたりする動向にもつながっているように思えてなりません。
みなさまもよろしければ銀座にお出かけの際はエルメスに立ち寄り、独創性豊かなアートをご堪能くださいませ。入場無料です。