花研コーヒーブレイク
リオ五輪開幕
2016.08.08
リオ五輪がいよいよ開幕しました。
難民選手団、individual Olympic athletesなどの入場シーンをみていると感慨深いものがあります。
また、それぞれの国の選手が笑顔で入場するところを見ていると、なんだか自然に涙が溢れてきてしまうのは、もう年齢のせいなのでしょう。世界では紛争が絶えませんが、それらを乗り越え世界中から一つの競技場に介すオリンピックの選手入場のシーンはとても美しく見えます。平和というのは美しいものなのだということが伝わってきます。
話題になっているのは、選手団の入場行進の演出。選手団とともに歩く先導役のチビッコは木の苗を片手に行進。さらにその前を先導する自転車(実際には三輪車か)の籠には、売り子かと思うほど観葉植物がたくさん入っていました。子供が持っていたのはマホガニーか何かでしょうか。ずっと見ていたわけではありませんが、ほかにもさまざまな種類があったかもしれません。
その先導役に続く選手団は、プラグに蒔かれたタネを携え、それをフィールド内に用意された什器に挿していきます。タネの種類は選手団ごとに異なります。選手団の数は204、タネの種類も200種ほどだったとか。
これは、競技場の一つをリオ五輪開催記念として「アスリート・フォレスト」を再生する企画なのだとか。
さすが、世界最大の熱帯雨林アマゾンを擁するブラジルらしい演出で、地球温暖化の進行を食い止めようという国家のメッセージが伝わります。
東京が56年ぶりにオリンピック開催を招致したように、ブラジルも数十年後に再び開催国になったときには、アスリートフォレストがとても豊かな森に育っているに違いありません。
もう一つ、メダリストたちに渡されるビクトリーブーケに注目していましたが、こちらはなかったようです。ビクトリーブーケはIOCプロトコル・ガイドで渡さなければならないと定められたものではありません。
アタクシ個人の予想では、ブラジル原産で国花でもあるカトレアのブーケあたりかなと思っていましたが、想定外の大ハズレでした(*_*;
もしかすると、ブラジル国内で切り花生産量はきわめて少ないのかもしれません。花き生産面積は日本の8分の1程度、観賞樹木はヨーロッパなどを中心輸出していようですが、切り花・葉の生産はあるものの、輸入に頼っている部分が多分にあるのでしょう。このあたりのお国の事情が考慮されてのことではないかと。ちなみにブラジルには世界第4位の規模を誇るHolambra(年間売上役1.7億ユーロ)という花き市場があります。
最近のオリンピックでは、競技直後、メダル授与の前にフラワーセレモニーというメダリストにブーケのみを贈呈し、その後から改めてメダルと花束授与と、ダブルでブーケを授与しているところもあったくらいでした、ビクトリーブーケはオリンピックのスタンダードになっているものばかり思っていましたが、あくまでも授与は任意。1984年のロサンゼルスオリンピックあたりから定番化したようですが、2020年の東京五輪の時もコストを最小限に抑える気運が高まれば、ビクトリーブーケの予算もカットされる可能性さえ無きにしも非ず。
しかし、日本の花き産業は種苗・生産・デザイン・流通品質など全てにおいて世界に誇れる一つであり、アピールする意義のあるもの。メダリストたちに“花を添える”意味でも、是非ビクトリーブーケを採用してほしいものです。