花研コーヒーブレイク
サウンドロゴ ~聞く広告~
2016.05.27
テニスのフレンチオープンを見ていると、コートチェンジの時になにやら怪しげな声が聞こえます。女性がプハーッと息を吐くような音です。男性かもしれませんが。
最初は何か雑音かと思いましたが、もしかしたら、ついにアタクシにもあの世の声が聞こえるようになったのかと思ったり。つまり雪女が吹雪を吹かせるときの吐息のような、そんな冷たい音なので、あの世の声かと思ったときには、ちょっと鳥肌が立ちました(笑)。
ところが、暫くしたら実況中継の日本人アナウンサーさんからきちんと説明がありました。
これはフレンチオープンに協賛している清涼飲料水の会社の広告で、“サウンドロゴ”という形で試合中に流れるそうです。
昨年のフレンチオープンで、錦織選手が敗れた地元フランスのツォンガ選手との試合中に、観客席上の大きな看板が風で落ちて試合中断となりましたが、広告は目に見える看板ばかりではなく、耳から入るサウンドロゴというのもあるのですね。これなら風で落ちて、観客を傷つける心配はありません。こういう広告に触れるとヨーロッパのマーケティングは進んでいるなと思います。(米国もそうかもしれませんが)
テレビCMなども、何の広告かわからなくても、キャッチコピーや音楽だけはやたらと頭に残ることがあります。サウンドロゴというのは、情報収集に忙しい目に代わって耳に訴求するとても効果的な宣伝なのかもしれません。
大会場での宣伝方法として、視覚、聴覚とくれば、次はひょっとすると嗅覚というのもあるかもしれません。嗅覚は、人の進化の中で最も古い器官の一つである大脳辺縁系へダイレクトに刺激が与えられ、身体を調整するといいます。また、その分、嗅覚から覚えたことは記憶の古い部分に深く残るのだそうです。「昔かいだ匂い」をいつまでも覚えていて、ふとした瞬間にその時の記憶が呼びさまされるのも、この嗅覚の性質からでしょう。嗅覚マーケティングというのは人に快適な方法である限りは、なかなか面白いかもしれません。その時はセントロゴ(嗅覚ロゴ)なんて呼ばれるのでしょうか。商標取得は大変そうですが、米国では匂いの商標登録は認められているようです。
さて、話が逸れましたが、よろしければ皆様もフレンチオープンの「耳を傾けて」見てください。WOWOWに加入していなくても、テレビ東京系列で放送しています。サウンドロゴから雪女の吐息を感じて(笑)、少しは“涼”を味わえるかも!?
(ちなみに、フレンチオープンのコートでも、ゼラニウムが飾られサウンドロゴが流れるのは、メインコートのフィリペ・シャトリエとスザンヌ・レングレンの2つだけのようです。No.1コートでは、いずれもありませんでした。)
それでは良い週末をお過ごしくださいませ。