花研コーヒーブレイク
今日は何の日?何の花??
2010.09.22
今日9月22日は中秋の名月。
夕方、羽田方面の低い空に白く浮かぶ大きな月の下を、これまた大きな飛行機が飛んでいるのを目撃し、なかなか面白い構図に感激しました。
お彼岸のときにいただくおはぎは、このハギの花から来ています。春の彼岸のときにいただく牡丹餅と同じものですが、春の牡丹餅はその名の通り「牡丹」に似せて大ぶりに作り、おはぎはハギの花に似せて、少し小ぶりに作ります。
明日23日は秋分の日で、9月23日の花は花研が定めるところの「彼岸花」。
彼岸花は、秋の彼岸が近くなると開花するためにその名がつきました。百恵ちゃんの歌で有名な「曼珠沙華」は彼岸花の仏教名。
彼岸花を採ってはいけないと言われるのは、球根部分にリコリンという毒を含んでいるからです。その有毒性から、かつてはモグラやネズミがあぜ道や墓にいたずらをしないよう植えられました。花き市場では「リコリス」という名前で園芸種(切り花)が流通しています。
「しゅうぶんのひ」と聞くと、なぜか(本当に何の理由もなく)頭の中で「醜聞の日」という字を当てはめてしまいます。いけない、いけないとすぐ誤字イメージを振り払いますが。
言葉遊びが好きなのか、ダジャレやオヤジギャグにも敏感に反応してしまいますし、「共和汚職事件」などもニュースで読み上げられる度に「今日はお食事券」(あ、やばい、古かったかな)などと同じ響きで違った意味を持つ別の言葉を思い浮かべてしまいます。
・・・なんてくだらないことはさておき、秋分の日をお中日として、前後3日の期間を「秋の彼岸」と呼びます。現世をこちら側の岸「此岸(しがん)」というのに対し、悟りや涅槃の境地を「彼岸」と呼びます。春分の日と秋分の日は真東から出た太陽が真西に沈み、現世が仏の世界に最も近づく日とされています。この日に先祖供養とすると、魂が迷わず極楽浄土に行けると考えられています。ですからこの時期にはお墓参りをするのです。また、秋の収穫を前にご先祖様に感謝の意を込めて参拝の儀礼を行うという意味もあるようです。
そもそも彼岸という文化の発端は6世紀ころと言われていますが、悠久の時間を遙かに超えて今も尚廃れず受け継がれるその理由は、やはり日本人が農耕民族であったことに由来すると思うのです。日本人は元々神道に根ざしたスピリットを持ちつつ仏教を受け入れ、どちらかに極端に偏ることなく神仏習合を生活に取り入れた。そして、自然(nature)に宿る八百万の神やご祖先様を崇拝し、豊作を祈っていたからでしょう。
日々変わりゆく自然の気配を肌で感じ、神や自然と調和していくことにより、農業の最適期を感覚で掴んでいたのではないでしょうか。
なんてつれづれなるままに書いてしまいましたが、つまり今日は中秋の名月、明日は秋分の日だということです。
この自然を愛で、花やその他の農産物とともに季節の移り変わりを楽しむのは、元々は農耕民族だった日本人ならではの文化なのですね!と言いたかったわけです。
ありがとうございました。皆さん、今晩は良い中秋の名月を!