花研コーヒーブレイク
本と花と漢方薬
2015.11.12
良書、というと少し大袈裟なのですが、心にじわ~っと浸みわたる本に求めていたタイミングで出合うというのは、処方された漢方薬の効果を大いに得る感覚に似ているでしょうか。
アタクシのかかりつけのお医者さんは、その症状に合わせて漢方のお茶を処方してくださいます。色々なものが混ざっていて、独特な香りがするのですが、なぜかとてもおいしく感じます。がぶがぶ飲みなさいと言われたら、がぶがぶとイケルでしょう。いきませんが。
ところが、症状が異なるほかの人のお茶は全く飲みたいと思いません。味でも香りもまったく異なります。他の人からしたら、アタクシのお茶も同様なのでしょう。その人が必要としているものが自然と受け入れられるようにできているのかもしれません。
本を読んでいても同じように感じることがあります。心がちょっとした風邪のひき始めで打開の糸口を探している時、まさに必要としている情報が記された本に出合えると、何とも言えない喜びと安心感を得られます。1年前、或いは数か月前だったら同じ本を読んでも斜めに読み流していたかもしれません。タイミングも重要なのでしょう。
その内容は緩やかに、しかし確実に心に響いていると実感できます。即効性を求めた薬というよりは、蓄積されてあとからじわじわと効果を感じるような漢方薬のような本です。
同様に、花を日常の生活空間に飾ることも、漢方薬を処方することに似ていると思うことがあります。ギフトとしての花は即効性を期待できるので、この限りではありませんが。
昨日から読み始めた本は、今の自分との巡り合わせを感じさせるものでした。メモを取りながら、時間をかけてじっくり読みたいと思います。