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ウィンブルドンな週末

2015.07.13

ウィンブルドンな週末でした。土曜日には女子シングルス、昨日日曜日には男子シングルスの決勝戦が行われました。

女子はセリーナ・ウィリアムズとガルビネ・ムグルサ(ベネズエラ生まれのスペイン国籍)。グランドスラムの決勝戦は初めて。21歳。

とりわけ第2セットはムグルサが逆転するのではないかと思うほどの快進撃を見せ、ハラハラドキドキでした。コートに立っている本人のドキドキは幾ばくでしょうか。終わってみれば、セリーナが最年長記録を以って優勝。ムグルサが試合後コートで見せた涙は、見ているこちらの涙も誘いました。

 

昨日は男子の決勝。

そういえば以前はもう少し早かったように記憶しています。7月4日の米国の独立記念日に、米国人同士のピート・サンプラスとアンドレ・アガシが英国のコートで決勝戦を行った・・・ということで覚えています。昨日は7月12日。今年から1週間試合のスタートが遅くなったそうです。6月開催のフレンチオープンとの期間を開けるためなのだそう。

昨日の決勝戦には、英国俳優のベネディクト・カンバーバッチやヒュー・グラントなど、ネクタイにジャケットを着用して観客席に姿を見せていました。ウィンブルドンはまさに世界中の誰もシナリオを知らない、最高のエンターテイメントの一つではないかと思います。

ウィンブルドンでは、プレイヤーは白を基調としたユニフォームであることが定められていますが、観客にも一定のドレスコードが求められます。いつぞやのイタリア国際オープンで見たような上半身裸で、両足を前に放り出して応援する、なんつーのはNGなのです(笑)。

一流のエンターテイメントを観るためには、見る方にもそれなりのマナーが求められる。英国人らしい考えですね。

ボールパーソンの動きも機敏で、まるで早送りにしてみているかのよう。他のどの大会よりも素晴らしいように思います。

 

対戦カードはご存知の通り世界ランキング第1位のジョコビッチ(セルビア)と第2位のフェデラー(スイス)。2セットまではどちらが勝つのか天秤がゆらゆらしているように見えました。しかし第3セットからジョコビッチがフェデラーの強烈なサーブにも対応できるようになり、結局はジョコビッチが優勝しました。彼は心身ともに鉄の強さを持っています。最後はウィンブルドンコートの芝を軽く食み、「おいしかった」(優勝の味)とコメントしていました。

ジョコビッチ選手は幼い時に内戦を経験しました。テニスの練習は前日にNATO軍の空爆があった場所を選んで行いました。同じ場所を続けて空爆をすることはないと、コーチと判断したからです。内戦の頃に世界ランキングNo.1としてテニス界で活躍したセルビア(ユーゴスラビア)出身のモニカ・セレシュ選手は米国に移籍しました。内戦が終わった今でも、まだまだEU諸国のみならず世界の中での偏見は完全には消え去ってはいないでしょうが、それでも尚セルビアの印象は彼の活躍によって大きく変わったに違いありません。

2014年に優勝したローマ大会でサインを求められたとき、彼は「セルビアとボスニアを支えてほしい」(バルカン半島の豪雨により大きな洪水被害を受けたため)と書き加えたといいます。セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナはかつては同じ国でしたが、最後は仇となり別々の国として独立しました。それでも尚、彼はボスニア・ヘルツェゴビナの人たちも同胞として忘れることはないのです。そのような彼のメンタリティも人気の秘密かもしれません。

彼はテニスで有名になることで達成すべき大きな使命を感じているように思います。愛する祖国の国旗を背負って好きなスポーツができるというのは、本人にとっても幸せなことでしょう。セルビアにとっても良いことのように思いますし、「ユニクロ」のロゴマークが入ったユニフォームで優勝カップを掲げるジョコビッチの姿は、日本にさえも良い影響を与えているに違いありません。

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