花研コーヒーブレイク
ミナヅキとカシワバアジサイ
2015.06.22
アジサイが旬を迎えています。
庭木のアジサイも市場に出荷されるアジサイも、あまりにもきれいで思わず手が伸びてしまいます。
さて、アジサイ科の植物には様々ありますが、区別が紛らわしいのは、どちらも円錐形に花を付けるミナヅキとカシワバアジサイでしょうか。
今朝もテレビでこの二つが混同して紹介されていました。
ミナヅキとカシワバアジサイとの最も大きな差は「葉!」です。どちらかわからなくなったら、まず葉に注目してみてください。
カシワバアジサイは、葉が「柏」の葉ににているからカシワバアジサイという名前がついています。
柏の葉ってどんなんだっけ?と思った場合は、柏餅を巻いている葉を思い出してくださいな。
先が丸く大きく割れています。
これが柏の葉です。カシワバアジサイの葉はそれによく似ているのです。
こちらの写真↓をご覧になると、葉の先が大きく割れていることがわかると思います。
また、ガク(装飾花)が八重だったらカシワバアジサイの可能性大です。
カシワバアジサイは八重と一重がありますが、ミナヅキのガクはおよそ一重です。
一方、ミナヅキの葉を見ると、葉の縁に細かいギザギザが入り(鋸歯縁:きょしえん=ノコギリの歯のような縁)、全体的にはアーモンド形の葉です。カシワバアジサイのように葉の先が割れていません。
↓ミナヅキ。写真でその葉の様子がおわかりになると思います。
ミナヅキの別名をピラミッドアジサイといいます。
カシワバアジサイもミナヅキもピラミッド型(円錐形)に花序を付けるので、混同しそうになりますが、ピラミッドアジサイとはミナヅキのことです。
開花の季節も異なります。
ミナヅキは水無月、つまり6月に開花と思われがちですが、開花は7月以降です。
旧暦の6月に開花するので水無月と呼ばれているのです。とりわけ切り花でいえば、6月にミナヅキが流通することはまずありません。市場流通期は、7月から秋色も含めると10月くらいです。(もしくは11月。産地で霜が降りるまで)
一方、カシワバアジサイは6-7月の開花ですので、6月から流通があります。切り花は少量ですが、本日も仲卸通りで1店舗のみ販売しているのを見かけました。残り1束というところでした。
花は姿が似ていても、実は別の花だということはよくあります。
ヒマワリと黄色いガーベラとが近くに置いてあると、同じキク科の花ですから一瞬混同してしまうことがあるかもしれませんが、やはりそこは別の花。これと同じで、ミナヅキとカシワバアジサイも同じアジサイ科ではありますが、厳密には別の花として扱っています。これは流通上のことではなく、一般の方々もそうです。植生豊かなこの日本で花を愛でる心のある人たちならではの細かな区別なのかもしれません。
今日のテレビ番組では、カシワバアジサイのことをピラミッドアジサイ(ミナヅキ)と言っていましたが、皆様はくれぐれもお間違えのないように♪