OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

植物は動けないのか、動かないのか・・・なんて悶々と

2015.05.08

東京モノレールの流通センター駅を降り、大田市場方面に進んですぐのところにこのような光景を見ることができます。

 

一見、大きな植物が檻に入れられているような光景です。ひょっとして、実はこの植物は夜間、秘密裡に動き回っているのではないかと思ってしまいます。この巨大なドーム型のまま、夜になるとすくっと立ち上がって、足がちょろちょろと動き出すのではないか・・・なんて。

 

・・・が、もちろんそんなことはありません。植物はチョロチョロと自力で動き回る(移動する)ことはありませんので。

これは、人によっても見解が異なるかもしれませんが、植物は動き回ることができないのではなく、動き回る「必要がない」からだとおっしゃる方がいます。私はこの意見に大きくうなづかされるのです。

動物は、生きていくため食べ物を求めて自らが動く必要があります。一方で植物は、栄養を光合成によって得ることができるので、太陽さえ当たれば動く必要はありません。

もうひとつ、生きていくために必要なことは子孫を残すこと。植物は自分の子孫を残すときでさえも、外部環境に依存(風や虫、動物など)していますから、動く必要がありません。それらを呼び寄せる魅力さえあれば十分なのです。

呼び寄せれば動物たちによって食べられることもあるでしょう。それでも尚、植物たちは「ちょっとくらい無駄に食べられてもいい」と思っているはずだとその方はおっしゃるのです。もし食べられるのを拒むのであれば、動かない植物はひどく有害な物質を持つはずですし、植物が食べられることを完全に拒絶したら地球上の全ての動物は生きていくことができません。もし、このようなことになったら、受粉や種子の拡散を動物頼みにしている多くの植物たち自身が、生きていくことが難しくなってしまいます。

動物が動き回る目的は、①捕食のため、②子孫を残す相手を見つけるため、そして③自分を守るため(逃げる)。

植物の場合、①は光合成のお陰で栄養を作り出せる、②外部要因に任せればだいたい行ってくれる ③必要がない。食べられても構わないと思っている。

このような理由で植物が動き回る必要がない。自らの力で動くことなく、生きていくことができるというわけです。なるほどこのお話には得心しました。

だからこそ、植物は「少しくらい自分を食べられてもいいと思っている」。このような発想も大変ユニークで興味深いところです。

そう思うと、執着がなく、自分のモノを周りの生物に分け与えようという寛大な植物が、ある種の神様のようにも思えてきます。植物から学ぶことって多いものですね。

 

因みに、フェンスに囲まれていたこの花は「トベラ(扉)」です。朝はあまり感じませんが、夕方会社帰りにそばを通ると、クチナシのようなフルボディの濃厚な良い香りがします。

夜のトバリ(帳)が 下りると、夜のトベラも良く香る・・・(失礼しました^_^;)

 

 

最後に、「植物は動き回る必要がないのだ」とおっしゃるのは、NHKカルチャーラジオ「人間と科学」で現在「植物の不思議なパワー」と題し、講師をされている田中修先生。

番組は4月から6月までの毎週金曜日、午後8.30-9.00(再放送は翌週の金曜日午前10.00-10.30)にラジオNHK第2で放送されています。もちろん「らじるらじる」でインターネットからも聴取可能です。

第6回放送日の今晩のテーマは「~人間の健康を支える力~ 機能性成分の力」。楽しみに耳を傾けたいと思います。

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