花研コーヒーブレイク
2月の雪害を垣間見る その②
2014.06.10
昨日の続きです。
この度お邪魔したアタクシの実家から最も近い花き生産者さんである上州の蘭の皆様は、中山聡さんと関根洋一さん、中山一馬さんの3人のグループです。地元なだけに、花以外でもアタクシの家族や友人と接点があります。例えば、中山一馬さんはアタクシの仲良しさんの弟さんと仲良しさんなんだそうで・・・。
あ!そういえば、中山聡さんはタレントの中山秀征さんと同じ中学で同じ学年だったのでは?
もしかしてフレンド??
いや、しかし当時はこのあたりでもマンモス中学校だったからどうかなーーー?ご興味のある人は中山さんに聞いてみてください。聡さんか秀征さんに!
ちなみに、アタクシは中山秀征さんと書道のお師匠さんが一緒でした・・・なんて、どうでもええか。
さて、左が中山聡さん、右が関根洋一さん。当日、中山一馬さんは当日は外出中でした。
お二人とも地元の消防団に入っていらして、当日も市内で出火騒ぎがあったとかで大活躍。被災されて片付けが大変だというのに、それでもご自身のことばかりではいられない!この地元愛には頭が下がります。
う~ん、中山さん、なんだかとってもアスリート!
お二人ともカメラの前では笑顔を作ってくださいましたが、圃場の8-9割を失った心の痛みは幾ばくか。
この被害のひどさに関根さん曰く、
「もう、元には戻らない。」
何かをしてもしなくても、雪が降ろうが降るまいが、花を作ろうが作るまいが、時は流れます。時が流れれば、花を出荷しなくても住宅地の中に圃場を構える関根さんの下には、固定資産税の支払い通知もやってきたり・・・精神的、肉体的苦痛に加え、金銭的な負担も大きくのしかかります。
倒れたパイプの間に咲くスミレの姿が、逞しくもあり、無情にも思えます。
「最初はどうしようかと思ったけど、ここまできたら前を向いて歩いていくしかない。
それが僕の選んだ道だし、仕方ない」
関根さんも中山さんも前向きです。
潰れたハウスの骨組みに寄りかかり、一晩にして一変してしまった圃場を見渡す関根さん。
豪雪だった当晩、関根さんはご自身のハウスが3棟、スゴイ轟音を立てて崩れるのを目の当たりにされました。
中山聡さんは出張で東京にいらしていた帰り、高崎線が停電で止まってしまい、身動きが取れなくなってしまいました。やむなく電車を降りて、タクシーを拾いましたが、豪雪でタクシーも動けなくなり、瞬時に決心・・・「徒歩で帰る」。
時刻は既に夜中の12時を回っていました。極寒の雪の中、傘もささずにびしょびしょになって何時間もかけてご自宅に辿り着きました。
帰宅された時は既にハウスは潰れていたといいます。
夜が明けて、原形を留めていないハウスを目の当たりにした生産者さん達の絶望感は想像に余りあります。
藤岡の生産者さんに限って言えば、今回の雪害でも唯一の救いは、けが人が出なかったということでしょう。
今回は、たまたま上州の蘭の皆さまを訪問させていただきましたが、大きな被害を受けたのは、上州の蘭の皆様ばかりでなく、同じ藤岡でシンビジウムの生産する方々もそうですし、シンビジウムばかりでなく関東平野で花き生産をする方々、はたまた花ばかりでなく野菜や果実の生産農家さん、みなさんが同じような思いをされていらっしゃいます。
そして、今回の雪に限らず、全国の多くの生産者さんが、生産人生の中でどこかで自然災害による被害を受けているのです。
地盤も天候も比較的安定しているヨーロッパに比べると、圧倒的に災害の多い日本で農業を営むということは、大変リスクが高いことなのです。
その方々からの成果物でお仕事をさせていただいている私たちは、そのような日本の農業の性質をよく理解する必要があります。
そして被災から立ち上がる生産者さんのスピリットからも学ぶことも多いはずです。