花研コーヒーブレイク
「縁起物の花奪い」祭り
2025.01.09
花研の一研究員です。
お正月は終わりですが、もう少しだけお正月ネタを続けます。
今年の元旦のことです。地元のお寺さんに新年のご挨拶で伺いました。10時頃伺ったところ、すでに大勢の来訪客で少し並ぶことになりました。元日からお寺さんに挨拶というのは少し驚かれるかもしれませんが、並んだということからしてもこの地域では普通のことです。
少し話は逸れますが、岡本綺堂の「風俗 江戸東京物語」を読むと、江戸時代の大名は元旦から将軍への挨拶があったそうです。徳川家と譜代大名が元日、外様などは二日からという決まりです。大名はお正月から仕事で動いていたようです。一方普通の武士・町人らは元旦は休み、二日からのご挨拶回りや初売りだったそうです。魚河岸はなんと元日だけ休みで、二日が初荷だったとか。
さて話を戻しまして、お寺さんにご挨拶をしたらお菓子をいただきました。お寺さんからいただくお菓子はありがたいとか、頭がよくなるとかそんないわれがあったように思います。小さいころはお寺さんからいただいたものはなんでも分けて食べた記憶があります。
はい、ここまでが導入です。導入長すぎですが。
ここからが本題です。(パッと見、本題の方が短めですね)
ネットのニュースで見かけたのですが、神社の拝殿に飾ってある造花を持って帰ると縁起がいいらしく、岐阜県のある地域では「花奪い祭り」が1月6日に行われたとのこと。なんでも平安時代から続くということです。これまたかなり歴史ある独特な文化ですね。
なぜ奪い合うのか、動画を見ていただければ一目瞭然です。
動画はこちらです。
椿などの造花が飾ってある位置が、天井の梁近く6mの高さにもなる。おじさんたちが肩を組んでタワーを作り、威勢のいい人が一番に上に乗ります。何しろ6mですから支える人も上に乗る人もなかなか緊張しまくりでしょう。てっぺんの人がその造花のかたまりに取りつきます。直径が2mぐらいの大きな花輪のような形でしっかりと天井に結わい付けられています。人がとりついて揺らします。すると装飾と一緒に落下、下で仲間が無事にキャッチ(というか大勢の上に落ちてくる)。
と、ここで終わればいいのですが、そこからが奪い合いのスタート。飾りはたくさんあるのですが参加者も数百名と飾りの数以上の人数が拝殿の中で誰かが装飾を地面まで落とすのを待っているのです。そこで取り合いになります。縁起物とあって互いに放しません。そのまま外になだれ込んでラグビーのモールのようになってしまう一団も。
神社ですからお正月にお参りすればお菓子かお神酒がいただけたでしょうが、更に更に飾ってあった花も縁起担ぎでということなのでしょうかあ。
場所は岐阜県郡上市、花餅の生産で大変有名な地域です。地域の豊かな花の文化が素晴らしいですね。
それではみなさま、ごきげんよう。