OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

次世代農業「垂直農法」

2014.05.02

 

ラジオの某語学講座で、先週と先々週「垂直農法」がテーマに取り上げられていました。

英語ではvertical farming(ヴァーティカル・ファーミング)と言います。

 

「垂直農法」とはどのような農法でしょう。私も初めて耳にしたのですが、まさに農地を垂直にとって栽培する方法です。

 

「垂直農法」でググるとタワーマンションのようにそびえ立った農場のイメージが出てきます。コンセプトとしては、水平面としては限られた農地を垂直に確保し、広大な面積がなくても人口過密の都市に住む人々の胃袋を支えようというものです。

語学講座のテキストでは、国土面積わずか275平方マイルに500万人が在住するシガポールで垂直農法を取り入れていると紹介されていました。限られた国土にそれだけの人口がいるわけですから、食糧の93%は輸入ですが、同時にそのような都市環境の中で垂直農園が活用されているのだとか。そこでは、わずか60平方フィートの土地において、高さ30フィートの観覧車のようなイメージで実現されているのだそうです。観覧車の一つ一つの箱がゆっくり回転しているので、等しく太陽光を浴びることができる。その農園では野菜を2日で1トン生産するのだと。

また、このような垂直農園がシンガポールには120もあるのだそうです。

灌漑用の水は濾過されて再循環され、有機廃棄物も堆肥として再生利用、装置に使用される電力もごくわずか。

メリットは、消費地までの距離が近いため、輸送コストが低く食品へのダメージが小さいこと、また、屋内栽培なので農薬の必要もなく、オーガニックのお墨付きをもらえること。

地元産の食品を好んで食べる人たちのことを「ロカボア(locavores)」といい、環境意識が高まる中、このような地産地消が食料安全保障を考える上で注目されているのだそうです。

さらにテキストの展開としては、米国でも垂直農園が注目されていて、設備投資した会社が大繁盛したと紹介されています。

 

ここからはテキストの情報ではありませんが、垂直農法とは1999年にコロンビア大学の教授によって最初に提唱されたのだとか。

デメリットもあります。エネルギーの問題や継続性、あるいは水耕栽培を問題視する点です。テキスト上でもきちんと批判者の意見を捉えています。

 

ここで垂直農法の是非を焦点にしているわけではありません。地球人口の限界が100億とも120億とも言われる中、ついに総人口が70億を超えた今、国によっては耕作地不足という深刻な問題に直面しています。そのような状況下において、このような発想やアイディアは未だ問題を残しているといえども、ひとつの解決の糸口を示しているように思うのです。

植物工場も現実となった今、垂直農法、あるいはそれに似たモデルももはや空想の産物ではないかもしれません。

その時、需要の特徴が少量多品種である花にとって、栽培区画によって環境や条件をコントロールできるこの農法は、もしかすると比較的適した方法ではないかと、ラジオ講座を聴きながら思いました。

 

pagetop