OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

野良キウイのニュースから考えてみた・・・

2025.01.08

花研の一研究員です。当研究所では研究員と称しておりますが、一般的には研究所にお勤めの方をフェローと呼ぶこともありますね。

フェロー形式でいけば、「こんにちは。花研フェローです」。

 

園芸作物だったりペットだったり、人為的にもたらされ管理されていたものが管理していた枠からこぼれ落ちて拡大繁殖するケースを野良◎◎と言ったりしますね。野良とは英語ではstray、飼い主のいないという意味だそうです。ストレイドッグは野犬、野良犬となります。

さて、愛媛県で野良キウイが増えているそうです。

 

愛媛県は全国一位のキウイ産地県です。そこで栽培もしくは放棄された園地のキウイを鳥や野生動物が食べてタネを広範囲にまき散らし、野良化するそうです。野良化したキウイの問題の一つは病気などの宿主となることです。キウイはある特定の病気に弱く、野良化したキウイをほっておくと病気の感染源としての危険性があるそうです。過去に県内で病気が大発生したことがあるそうですから。また、キウイの仲間であるマタタビ科の植物が日本には自生しているのですがそれらとの自然交雑も懸念されているそうです。園芸的には有用な植物ですが、外来植物ですからやっぱり勝手に繁茂したり交雑することで植生が変わってしまうからですね。

一方自生のマタタビ科植物には園芸種であるキウイにはない特性があるタイプがあり、交雑することで栽培適地を広げたり、病害に対する抵抗性を獲得するなどの有効な面もあるそうです。交雑=悪い、ではなく目的とする形質を導入できるかどうかで考えると、様々な原種があれば、新しい性質を生み出しやすいということになります。ニュージーランドはそもそもがキウイの原産地(もともとは中国でした)ではないので育種素材は外国からもってこないとできません、昨今育種原となる植物の国をまたいでの移動は制限されるので、元になる種がある国ほど今後の競争としては優位となることでしょう。香川大学のHPを見ると、キウイの交配研究がすすんでいるようです。またその研究はタイのロイヤルプロジェクトとの交流もあるようですよ。

ということで、野良化したキウイが問題だというニュースがあったのですか、どの面からそのテーマを視るかによって問題点ばかりに思えることもあれば、別な方向性で発展していたりと、評価が一つに定まるということはありません。

私たち花き業界すると、キウイはまったく関係がなさそうですが、そのツルを使った装飾デザインがうんと流行るかもしれませんし、すでに開発中の人がいるのかもしれません。植物に関する情報には常にアンテナを張っておき、更にその情報を少なくとも表と裏の二面からは考えたいものですね。

 

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