花研コーヒーブレイク
色づいた千両が庭の一角を占領し始めると
2024.11.26
花研の一研究員です。
ようやく秋めいたと思ったら、ぐっと寒くなりました。昨日今日あたりの寒さが平年並みの気温なのだそうですカッコ東京。
一足飛びに冬がやってくるようで気持ちの整理がつきませんが、お腹がいっぱいになればそれも受け入れられるくらいには気持ちが落ち着くでしょうと、おでんは準備しました。温かい日々が続いたせいもあり、冬野菜の供給が遅れたとかで、価格高騰というニュース。農産物の価格高騰がクローズアップされているのも、日本は野菜をたくさん食べる国民性なんだなという証なのかもしれません。かくいう私も、昨今日本では野菜が一気に高級品になってしまったのかと、いつものように気軽にスーパーで手を出せない状況が続いています。
さて、花業界でもこのところ冬物が出回り、大勢のお取引様が鉢物やリースの材料仕入や、年末用の注文などありがたくも忙しい大田市場です。
場内に展示されている花きも、秋を通り過ぎてすっかりと冬物。中央通路は針葉樹の香りが漂い、気分が引き締められます。一般には針葉樹の香りはフィトンチッドといって、リラックス効果が期待されるています。とはいえ、業界人にとっては師走の香りとして潜在意識の中にインプットされているのではないでしょうか。師走の忙しさとリンクして、背筋が伸びる効果の方が強かったりしてね。昨今はブルーアイスのような香りの強い針葉樹も人気で、年末問わず夏でも流通が合ったりするので、夏場にその香りに触れると、なんだかちぐはぐな気分さえします。
そんな年末が見えてきた某日、インフルワクチンを打ちに近くの診療所に行きました。道すがらの古いお堂の前を通りました。馬込というエリアに住んでいるのですが、ここは案外と古くから集落が形成され、また環状7号線の外側の山谷が多い地形であることから、古いものが残っていたりします。地形的に湧き水が出るような崖が多く(今はコンクリートで擁壁になっていますが)、そのため井戸があちこちにあります。危ないので蓋がしてあります。
それから江戸時代の富士講にちなむ灯篭。そして先ほどのお堂です。なかなか情緒があります。小さなお堂ですが境内はいろいろと植栽されていて、その一つに千両があります。毎年よく色づくので、目に入ります。しかし、よく見れば真っ赤という淀でもありませんし、なにより小粒です。市場で見かける千両はずっと色が濃く、実も大きいので、やはりプロの生産者さんが腕によりをかけて生産している千両は適切に管理されて、選別されて出荷されたもので、こういう庭木的な個体とは違いがしっかりあるなあと思います。
大田市場では年末に向けた特別市が目白押しです。11月にツリー市、12月上旬に松市、中旬に千両市と続きます。いずれも忙しいに違いはありませんが、とりわけ千両市が終わると年末のどっと忙しい日々となります、皆様ご自愛くださいませ。
それではみなさま、ごきげんよう。