花研コーヒーブレイク
「つなげよう花の心」増上寺で開催
2024.10.04
花研の一研究員です。
掲題のいけばな展が先週開催されました。大田市場から第一京浜という道路を経由して、芝の増上寺へと向かいます。
本ブログでたびたびご紹介しているように、品川から高輪にかけてもう大変な規模の工事が進んでいまして、この一帯を車越しに見るたびに景色が変わります。どれだけ巨大な商業施設ができるのでしょうか。
なにしろ駅から駅までの間をまるごと工事している感じですからね。※品川駅から高輪ゲートウエイ駅は大変距離が近いとはいえ、巨大な施設です。
鉄は国家なりとはよく言ったもので、巨大建造物をみるにつけ、日本の底力を思います。その鉄の塊から海岸線のような道路を江戸城方面へ向かうと、大門の交差点が現れ、今度は木の塊のような増上寺へと辿り着きます。
東北の震災から13回目を迎えた復興応援いけばな展の会場です。関係者に伺うと、日本全国災害が頻発していることから東北に限らず、あらゆる地域の復興応援のために、いけばな教室を全国で開催しているそうです。
ここ増上寺のいけばな展は、そのボランティア活動への協賛を求めるものとして開催されております。初回から増上寺内の場所を借りて開催されているようですが、ここ2年は同じ増上寺内でもちょっと開催場所が変更になりました。私見ですがわかりやすい位置の会場になったと思います。
散歩中に気づきましたが、観光で一般でお見えになる方はとりわけ海外の方が増えたようです。会場内は畳です、履物を脱いで入っていただく。すると各流派の家元が素晴らしい生け花を展示されている。これらの作品が至近で見ることができて、更に運がよければご本人がお近くにいらしたりするという、なかなか味わえない展示会です。
この度は、会場内におのおのの作品が展示されているだけでなく、会場入り口手前広場には能登の復興を祈念した装飾がありました。入口までが20段ぐらいの階段を上って辿り着くので、登り切ってふと広場を振り返ると、能登半島、水盤が並べてあるという演出です。改めて能登半島をみて、皆様の生活が出来得る限り早く日常を取り戻されるよう復旧・復興されることを祈りました。
さて、会場内でいけばな作品を一通り拝見したのち、主催者のおひとりに地域での生け花教室でのことを伺いました。
とある地域の話です。いけばなでお使いになった植物のうち挿し木ができる花がり、その地域ではその植物を挿し木でふやして引き続き愛でているそうです。
災害で大変な状況に遭った、けれどもいけばなで癒され、またその植物を地域で長く育てているというのは、花が人にとって欠かせないものであることの査証であったなあなどと思いましたよ。
写真は会場の様子です。
左の写真が能登半島、丸い造形のものは水盤です。写真では水盤に花があまり無いように見えますが、翌日には水盤に多数生けてあったそうです。
右(写真2つ目)がいけばな作品のうち一つから、セイバンモロコシとヒガンバナという日本のいつもの素材があることで、いつもの風景がいつもでありますように、という思いが伝わる作品。
また来年も開催されましたら、みなさまぜひ。
それではみなさま、ごきげんよう。
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