花研コーヒーブレイク
フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2013 結果発表
2013.12.07
毎年、大田花きに1ケースでもご出荷くださった生産者様を対象に、年間を通じて優秀な花の産地別品種を選ばせていただき、フラワー・オブ・ザ・イヤーOTAの称号を授与しております。
この名前、長いので思い切って「フラオタ」と略しています。結構思いきった略し方ですね・・・と、朝日新聞の記者さんにいわれましたが、皆様ももしよろしければ、「フラオタ」と呼んで頂けると嬉しいです。
フラオタのロゴマークはこちら。
パステル調の鮮やかな12色は、市場に集まる豊富な花の品種群を象徴しています。
この表彰システムは、花きの流行調査、及び優れた花きの出荷を奨励し、品質向上を促すと共に、日本で最も花きの集まる当社から流行を発信していき、花のある豊かな社会文化への寄与を目的としています。
以下に発表させていただくのは、およそ18万にも及ぶ候補点数の中から頂上に輝かれた品種×生産者様in2013です。
数ある他の賞と性質が違うところといえば、流行の潮流や世相を何かしらの形で繁栄している結果であるということでしょうか。本当に自然にそのような結果が出るので、私どももとても興味深く、毎年結果が出るのを楽しみにしているのです。
早速、結果は以下の通りです。
■最優秀賞 バラ “インスピレーション” 梶農園様
宮城県名取市で栽培される梶農園様は、東日本大震災でバラの株だけでも2万株の被害を受け、1年間は出荷出来ないものと思われました。
しかし、梶農園の皆さまによる不断のご努力により、なんと半年後には出荷できるまでに漕ぎ着けました。震災から3年近く経とうとしている現在においても、震災後遺症と闘う一方で、大田花きには素晴らしいバラをご出荷くださっています。
世相的には、癒されモードをそろそろ卒業して立ち上がろうしている今、強さと美しさとを放つこのインスピレーションから梶農園様の強いスピリットを感じ、共感された方が多くいらしたのかもしれません。
■優秀賞 ファレノプシス “ピントンキング” 島田洋蘭園様
ファレノプシスにおいても、いままで受賞したようなミディや染めなど工夫を凝らしたものから、王道の大輪の白をいかに完成度高く、更にユーザー視点の便宜を図って出荷するかという点への回帰傾向を見て取ることができます。非の打ち所のない島田洋蘭園さまのピントンキングはあまりにも好評で、全てご注文分で売り切れてしまうという状況がずっと続いています。
島田様のピントンキングを出荷箱から出して、花にかぶせてある白いベールをとった瞬間の衝撃は忘れられません。
日々ファレノプシスを見ているはずの私たちでさえ、その素晴らしさ、見事さに声を上げて驚嘆してしまいました。
■特別賞 シンビジウム“スノーフレーク” 上野緑風園様
ここでラインフラワーが入賞することが、今までの傾向からの転調が見られるところです。大輪で立体的というキーワードを残しながらも、ラインフラワーの王道シンビジウムが、フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA有史以来の初受賞となりました。
このボリューム、尋常ではありません。
写真を撮るからと、花研の男性スタッフにスノーフレークを持っていてもらったのですが、あまりに重さにすぐに腕がプルプルしてきて(笑)、長い間持っていられないほどでした。
ボリューム、大輪でさえも尚、妥協のない花付き、無傷の様相、茎の強固さ、梱包の心配りなど、どれをとっても、上野緑風園様は大田花き担当者も頷く日本屈指のシンビジウム生産者様です。中でも20年近く作り込んできた白グリーン系のスノーフレークが選ばれるというのは納得の結果です。
■新商品奨励賞 アルストロメリア “ブライズメイド” JA愛知みなみ様
アルストロメリアは、花序の高さが揃ったドーム型、また大輪ブームに伴い花弁も大きなものが主流でしたが、ここにきてブライズメイドの4段咲きプラス小輪というのが受けて話題を集め、今回の受賞に繋がりました。小花やラインフラワーへの回帰傾向を見て取ることができます。アルストロメリアにとっては、今までになかった形ですから、新しい領域を広げたといっても過言ではありません。
今後、アルストロメリアの育種の方向性や来年以降出荷される新品種に是非注目したいと思います。
■□■総評■□■
昨年の最優秀賞トルコギキョウ・セシルピンク(一重)に見られた潮流が、さらに受賞品種全体に裾野を広げました。従来の人気のキーワードであった八重やフリンジ、大輪、立体的などの要素を持つ品目・品種は、固定客を携え殿堂入りしたといえます。
アベノミクスによる景気回復への期待感、2020年東京オリンピック開催決定、ファッションはバブル期の潮流へ一歩回帰、ドラマ『半沢直樹』のヒットなどの社会現象にも見られる通り、2013年は世相的にも明らかなターニングポイントを迎え、生活者心理の向きに変調があった年でありました。また、花にもそれが明らかに反映されました。
本年上半期から王道回帰の傾向が見られるように、本年選考の最終投票においては、花形品目のバラやランに票が集中いたしました。一方で今後の流行を予測するに、ブライズメイドやシンビジウムの入賞に見られるようなラインフラワーや小花系がひとつの流れを作っていくものと思われます。
ただ、80年代に流行った花と全く同じものではなく、一度大輪や八重、フリンジなどの流行経験を経て、過渡期である現在は、相対する要素がミックスされたアイテムの人気が出るでしょう。
これらの花は、表彰式後、それぞれ観賞価値がなくなるまで大田花きのショーケースに展示してございますので、ご来場の際は是非ご覧くださいませ。
今日12月6日は表彰式でした。その様子は次回のブログでご報告いたします。