花研コーヒーブレイク
カナクギカタケカキカ・・・
2024.02.07
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
大田市場花き部の仲卸通りを歩いていますと、いつもフローレ21さまの店頭前の装飾に目を奪われます。旬の花を使った装飾は本当に素晴らしく、勉強させていただいています。
さて、今朝のフローレさんの展示はこんな感じ。
これまた素晴らしいことでございますよ、ほんと。またこのシーズンにこのセピア系カラートーンがフローレ21さまらしく、トレンドを感じる提案ですね。
いやところがですよ、この枝物は何でしょうか。すぐにわからず、体を斜めに傾けながら大田花きの事務所に戻ってまいりました。
大田花きの枝物A先生に聞いてみましたら、A先生は写真を見てくれたものの、
「ちょっと若者の枝物B先生に聞いてみてよ」と秒でバトンタッチ。
枝物B先生は、
「う~ん、あまり見たことないし、使わないな~。木肌がトサミズキっぽいけど、花芽のつき方が違うな~。何かな、C先生」
おっと~、枝物先生軍団の中で風船爆弾リレーが始まりましたよ!
すると枝物C先生は、
「カナクギかな?静岡とかで作っているんだけど。丸っこいのは花芽」と。
枝物ABC先生のリレーによるファインプレー、さすがです。ありがとうございます。
教えてもらい調べてみますと、なるほど木肌の感じや丸っこい冬芽のつき方からして「カナクギノキ」のようです。
クスノキ科クロモジ属で、学名をLindera erythrocarpa、本州でも千葉県以西の温暖な地域、四国、九州、及び朝鮮半島、中国の温暖なところに分布。カナクギノキは「鉄釘の木」のことで、カナクギノキの枝が固く密であることから、この和名が付けられたようです。
御礼を言って去ろうとするとA先生がぼそり。
「それにしてもよ~、いくら何でもこんなカビの生えた古い竹花器使わんでもいいのにな」
こちらの花瓶のこと↑
Σ(OωO )ビクッ!?!!!
A先生は生け花の免状もお持ちで枝物の知識は、A先生の右に出る者はいない(というほどの)天下逸品。山に入れば、あれとこれはこの時期とこの時期にこのスペックで商品になる、日当たりの良い斜面にあるこの枝物なら、こういう感じあれば出荷できるよと、すらすらすらと目をつむりながらでも生産者様にアドバイスできちゃうほど。
そんな大先生にいまさらなにもいうことはございませんが、念のためお伝えいたしました。
「A先生、僭越ながら、こちらは竹花器がカビたような大変微妙なニュアンスカラーを表現した美しいガラスの花器でございます。
カビ製品ではございませぬww」
しかしまあ、A先生がカビた竹花器と思うのもごもっともで、12月に青い竹花器がたくさん流通するのですが、ちょうど時期的にも12月の竹花器が湿気ってこのようなニュアンスカラーになるころであること、また写真サイズが十分でなかったことで、誤誘導してしまったようです。
A先生も大笑いしてご理解いただきまして、何よりでございました。
A先生のコメントには大きなヒントがありました。つまり、竹花器がカビたか、何かから錆が出たようなカビ色・サビ色などのトーンダウンしたニュアンスカラーが、トレンドの一翼を担っていることを垣間見ていただけるかと存じます。表現を変えればグレーイッシュ(greyish)とかブルーイッシュ(blueish)ということでもあるのですが。
ちなみに、本日のタイトル「カナクギカタケカキカ」は「カナクギノキか竹花器か」ということを早口言葉風に連ねてみただけでございまして、あまり深い意味はございません。
それではみなさま、ごきげんよう。