花研コーヒーブレイク
秋が旬のキク 食用ギクも活躍します
2023.10.11
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
先日、外出ついでにパスタをいただきました。
おすすめメニューにあった秋のアサリを使ったボンゴレを注文して待っていると、そこに登場したのはアサリのボンゴレには食用ギクの花びらがのっていました。それを見て食用ギクのシーズンが始まったことを知りました。
キクは秋に咲く種類が大変多くあります。そもそも菊は一日の日の長さが短くなると花芽をつける短日植物です。ですから秋以降に咲くものなのです。
ここで多少脱線します・・・日本の育種家がその短日の性質から早秋の8月、そしてとうとう7月に咲く性質の品種を作り上げます。それらを生み出したのが小井戸直四郎氏。キクの育種の歴史は大変面白く、その経緯は「花の品種改良の日本史」(柴田道夫編集 悠書館)に詳しく書いてあります。他にも代表的な品目についての育種の歴史が詳しく書いてあるのでとても参考になる本です。
さて、食用のキクに話を戻します。食用ギクは秋田、山形、新潟そして一部滋賀県で栽培され、消費もその地域が多いように思います。品種はそれぞれの地域で開発されたものが利用されているようですが、恐らくは生産性と食味に優れた品種だろうと思います。
食用ギクの品種のひとつに“もってのほか”という赤紫色の菊があり、時々都内スーパーの売り場でも見かけます。また食用ギクには沖縄産もあり、冬、春ぐらいまでの供給を担っているようで、こちらもスーパーで見かけることがあります。花の世界では沖縄産なくして年末・春彼岸のキクはありませんが、食用も生産されているのですね。
ところで皆さん食用ギクをどのように利用されるでしょうか。私は食用ギクの大産地である山形出身なので、小さいころから食べてきました。食用ギクをさっと湯がいてお浸しでいただいたり、みそ汁の実にしたり、ほうれん草のようなポジションでしょうか・・・。長いこと食べてきたのでまったく抵抗なく今でも食べます。とはいえ、そういう体験でもないと晩御飯のおかずの一品に加えようという思考にはなかなか至らないかもしれません。
このような背景と個人的な経験があって、パスタでキクの花びらを見たときには、おお食用ギク頑張っているなと思いました。今回パスタの上に散らしてあったキクの黄色は春色のやわらかい黄色ではなく、締まった秋らしい黄色です。こういう黄色もいいですね。キクはお花屋さんでは一年中見かける大スターですが、秋になると食材としてもあちこちで登場活躍するんですよ。今日はそんなことをちょっと紹介してみました。
(※なお、食用菊は食用として管理されたキクであって観賞用とは栽培方法が異なります。観賞用は食することはできません悪しからず)
それではみなさま、ごきげんよう。
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