花研コーヒーブレイク
サイゼリヤの地動説に学ぶ
2023.07.10
こんにちは。みんなの花研ひろばです。
流通花き評価基準はどこにあるか。時代とともに変わりますし、流通チャネルによっても異なります。こっちの人はこう言ったけど、あっちの人はこう言った・・・生産者さんにとっても最も難しく頭を悩ませることの一つではないでしょうか。
さて、そんな悩みに明解に答えてくれる本がありました。サイゼリヤの正垣社長が書かれた本です。
最初の1ページは衝撃の内容で始まります。
正垣社長は、「声をかけてもらい千葉で開店したばかりのサイゼリアに勤務。お客様が全然来ないから営業時間を延長してみたものの、地元のならず者のたまり場になってしまった。しまいには客同士のけんかで石油ストーブが倒れて店が火事になり、従業員とお客様を避難させるために自分が最後まで残って煙に巻かれた。あの時死んでいてもおかしくなかった。」
というところまでが1ページ目に書いてあります。正垣社長がいまのサイゼリヤを創った原点がここにあるといっていいのでしょうか。フツー辞めますよね、ここで。
でも、お辞めにならずサイゼリヤを創っていったところが、正垣社長がただ者ではない所以です。
以降の詳細は、正垣社長の本をご覧いただければと思います。
花の評価についてヒントとなる考え方があったのでご紹介させてください。
・・・引用・・・・
「自分の店の料理はうまい」と思ってはいけない。それこそが悲劇の始まり。
「自分の店の料理はうまい」と思ってしまったら、「売れないのはお客が悪い。景気が悪い」と考えるしかなくなってしまう。
商売とはお客様に喜ばれるという形で社会に貢献し続けること。そう考えたら改善を進められなくなってしまう。
・・・引用終了・・・
「良いものは売れる。良いものだから売れるはずだ」というのは天動説と同じだといいます。正垣さん曰く、「昔の考え方であり、自己中心的な思い込みだ」と。売れないのは、お客様が良さをわかってくれないからだ、景気が悪いからだと思ってしまった時点で思考停止になり、その商品を売ることはできなくなってしまうということに警鐘を鳴らしています。
正垣社長流に言えば、良いものが売れるのではなく、売れるものが良いものだということ。少なくとも国内マーケットにおいては、良いものさえ作れば売れるという時代は一旦過ぎて、今はマーケティングも併せて考えていく複雑で難しいときに来ているということです。とりわけ花きは流行の変化激しく、生活者の評価軸が大きく変わりますし、マーケットもそれほど大きいわけではありません。それでも尚、あえて言ってみれば天動説ではなく、地動説マーケティングとして自分たちが動いて変わっていくしかないということですね。常に消費マーケットを中心に据えて考えていきたいと思います。
正垣社長のお考えは、花き流通においても大変参考になると思いましたので、ご紹介まで。
それではみなさま、ごきげんよう。