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伊豆で思ったこと【その1】 曽我物語と石竹

2022.03.18

こんにちは。ボンソワール桐生です。

 

3月16日に、大田花きのホームページ「産地ウンチク探検隊!」コーナーに伊豆のカーネーション(ナデシコ科)の記事を掲載いたしました。

取材に因み、調べていると伊豆とナデシコには実は古いつながりがありました。

 

話は曽我物語から。

曽我物語は鎌倉時代に起きた仇討ノンフィクションをフィクションに仕上げた日本三大仇討話の一つです。

内容は、静岡県伊東市周辺をおさめていた武士同志の勢力争いに端を発します。有力な武士であった河津氏がライバル関係にあった工藤氏に殺されてしまいます。河津氏には幼い二人の息子がいました。二人は艱難辛苦のすえ仇討を果たすのですが、その相手である工藤氏は源頼朝の忠臣でありました。大規模な巻き狩りという狩猟ゲームと軍事訓練を兼ねた野外活動の折に仇討を果たすのです。二人は思いを遂げますが、兄は頼朝の部下に切り殺され、弟は捉えられ斬首になるというのがというのが粗々の筋と。
上記あらすじは、こちらのサイトからまとめてみました。

その曽我物語の一節には、仇討成就の心意気を示す故事として、石竹(ナデシコのセキチク)に関する下りがあるそうです。
解説は碩学(せきがく=博識)の南方熊楠です。

 

———-南方熊楠『十二支考』虎より引用———-
『曾我物語』にはこの事を敷衍(ふえん)して李将軍の妻孕んで虎肝を食わんと望む、将軍虎を狩りて喰われて死す、子生れ長じて父の仇をもとめ虎の左眼を射、馬より下りて斬らんと見れば虎でなくて苔蒸した石だった、その時石に立てた矢が石竹という草となったとある。
——–引用終了——–

とあります。中国の故事に、虎に父親を殺された息子がおり、あるとき虎を発見します。父の仇を、と念じて放った矢は見事獲物をとらえ刺さったのですが、近くでみるとなんと岩であった。その岩に再び矢を放ったが刺さることは無かった。つまり強く念じたその時にこそ岩に矢が立つということを物語っています。まだナデシコが岩に刺さった矢の様子に似ていることから、石竹(ナデシコ)と名がついたとあります。

そのストーリーを紙芝居にして動画仕立てで作ってみました。音声なしですがご覧いただければと。

このように、伊豆とナデシコには長い歴史的つながりがあったのでした。

 

それではみなさま、ごきげんよう。

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