花研コーヒーブレイク
フィンボスは植物の宝石箱や~✨世界自然遺産「ケープ植物区保護地域群」
2022.03.03
こんにちは。泥油育子です。
琥珀に閉じ込められた蚊が血を吸った恐竜のDNAを抜き出して、太古の昔の恐竜の世界を再現する~というストーリーは、スティーブン・スピルバーグの『ジュラシックパーク』ですが・・・
その映画を想起させるリアルニュースが植物版でも飛び込んできました。
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約1億年前に形成されたミャンマー産の琥珀の化石標本21点を調査したところ、最終的に南アフリカのケープ植物区保護地域群で琥珀化石となった現存する植物の子孫を発見したとのこと。そこから昔の植生を再現するわけではないので、ジュラシックパークとまでいきませんが、「1億年前の琥珀から発見された南アフリカ原産の耐火性クロウメモドキ科の植物」として発表されたのだそうです。
なぜケープ植物区保護地域群の植物がミャンマーの琥珀化石から出てきたかというと、以前はゴンドワナ大陸として1つだったから。アフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸や、アラビア半島、マダガスカル島を含んだ巨大な一つの大陸だったのですね。琥珀の中にとじ込められた植物は、インドプレートがゴンドワナ大陸から完全に分かれる前に形成され、ゴンドワナ大陸から分かれてくるときにこの生物群の祖先はミャンマー北部へ、その子孫はケープ植物区保護地域群で繁殖してきたということです(記事本文より)。
この記事に出てくるケープ植物区保護地域群、ご存知の方も多いと思いますが、南アフリカ共和国西ケープ州に広がる植生地域でフィンボス(Fynbos<アフリカーンス語でfine bush「細い灌木」の意)とも呼ばれます。その名が「細い灌木」に由来する理由は、その地域固有の植物、例えばピンクッションやワックスフラワー、エリカ、セルリア、リューカデンドロンなどを想像していただくと、いずれも細い針状の枝葉を持っていることからとわかります。そこに自生している植物の特徴が地域の名前になるとはね~。
フィンボスは大変ユニークは植生地域で、世界六大植物区のうち面積は最小ながら、面積当たりの豊かさは随一。面積は世界一小さいけど、一人当たりのGDPは世界一の国みたいな感じでしょうか??フィンボスの面積約46,000平米(オランダの国土面積に近い)に約5,000種の固有種を含む8,000種以上の植物が自生するのだとか。ちなみに日本の面積は約378,000平米。日本を含む北半球一帯は「北帯植物界」に入り、最も広大な植物区になります。
その植生の珍しさから、ケープ植物区保護地域群はユネスコの世界自然遺産に登録されています。実は、この前の日曜日2月27日に放送されたTBSの「世界遺産」で「ケープ植物区保護地域群 〜 一斉に開花!幻の花園と奇岩の秘密」と題し、その珍しい植物と奇岩群の光景が美しい映像とともに紹介されていました。
★ご参考
★ちょっとだけこちらのYOUTUBEでその珍しく、かつ美しい光景をご覧いただくことができます。
このフィンボスと呼ばれるケープ植物区保護地域群の地域の植物多様性は熱帯雨林のそれを上回るのだそうで、限られた地域にギュッと詰まった固有種を考えると、まさに世界の中でも「植物の宝石箱や~✨」というくらいの聖地になるでしょうか。ケープタウンと聞くと、なかなか治安の面でも不安がありますが、もし機会があれば聖地巡礼としてフィンボスを訪れてみたいものです。
それではみなさま、ごきげんよう。