花研コーヒーブレイク
正月に松を飾る理由
2012.12.12
12月9日(日)、大田市場では松市が開催されました。
セリ前から品定めをする買参人の皆さま。
セリが始まれば、いつにも増して活気づきます。立ち見のお客様(買参人の皆さま)も続出。
今年は、大王松(だいおうしょう)などが比較的人気だったようですが、大王松のリースやアレンジなどが定着してきたということでしょうか。
さて、なぜ正月に松を飾るのか、人に聞かれたら説明できますか?
ここはやはり花業界に身を置く方でしたら、一応マークしておきましょう。
お正月とはそもそも神道の神様である「年神様」(としがみさま)をお迎えし、1年の豊穣を祈る行事です。
1月1日の初日の出とともに年神様が幸福のために降臨するのですが、このときに年神様が迷わないよう目印として門松を飾るのです。
【なぜ松なのか?】
それは、松は常緑樹で枯れないことからさ栄木とされ、竹と同様に神様が降臨する場所=「神の依り代(よろしろ)」として神聖視されてきたからです。
門に飾る松だから門松。
松の針葉や松笠(通称松ぼっくり)、樹脂からは森林の香りに似たシャープで清々しい香りがします。
これは松の精油に含まれる揮発性物質によるもの。ターピネオールとうい強い殺菌作用の成分も含み、正月の邪気を祓うに、栄木だからという縁起ばかりでなく、まさにその機能を伴った植物といえるでしょう。
【なぜ一夜飾りは良くないとされるのか?】
一夜飾りが良くないとされるのは、超VIPの年神様をお迎えするのに、前日に慌ただしく準備するのは失礼に当たること、あるいは葬儀でも一夜飾りをすることから縁起が悪いとすることからです。
12月29日に飾り付けるのも29が「二十の苦」に通じることから避けられます。日本のあらゆる文化は語呂合わせや縁起からきていることが多いですね。
従って、28日までか30日に飾るのがいいでしょう。
年明けは1月7日まで飾るのが一般的です。
【なぜ「正月」というのか?】
1年の初めの月だけ、とりわけ事実上の祝日となっている3日まで、あるいは松を飾る「松の内」「松七日」(1月7日)までを「正月」というのは、年神様のことをお正月様と呼ぶこともあるからです。
昔から人々は、日の出とともに降臨するお正月様を寝ずにお迎えしました。
寝ずに待つから夜がなくなるため、「夜を除く」→「除夜」といいます。
寝ずに迎えた日には昼間寝ることが許されていたたため「寝正月」といわれました。
本来は、お三が日を食っちゃ寝して、寝て過ごすことを「寝正月」というわけではないのですね。
1日は除夜になってしまったので2日以降に見る夢を初夢といいます。紅白歌合戦を見たら“おやすみなさい”ではなく、きちんと寝ずにお正月様をお迎えするのが日本のしきたりのようです。
今年は最敬礼で年神様をお迎えしてみましょうかね。