花研コーヒーブレイク
パイナッポーはどこへいった??
2021.06.16
こんにちは。ボンソワール桐生です。
博物学者で小説なども書いている荒又宏さんは、よくテレビでもご活躍されてお顔もお名前も広く認知されている方ですね。
その荒俣宏さんの著書に『花の王国』という四冊からなる書籍があります。博物学者らしい本で、園芸植物・薬用植物・有用植物・珍奇植物という4つに分類し、それぞれのテーマで1巻ずつとして美しい図譜とまつわる歴史とを丹念に収集しまとめた本です。珍奇植物という分類をもうけるところが博物学者たる個性です。
1990年に出版されたセットを古本で購入しました。第三巻の有用植物から、パイナップルについて少し書いてみます。最近ちょっとだけパイナップルの記事を書いたのでどんなことがここには書いてあるのか調べたところです。
書籍によればコロンブスらの一行がヨーロッパに持ち帰ったようです。独特の形と香と甘味から、17世紀から18世紀のヨーロッパの上流階級で珍重されたそうです。
スコットランドには1761年に建てられたパイナップルの形をした温室が現存するそうです。「the Dunmore Pineapple」で画像検索するとを見ることができます。
ほんと、奇怪で面白い建物。かなり精緻にパイナポーが再現されていると思いますが、いかがでしょうか。建物の画像を見て、ある漫画を思い出しました。
スポンジボブというアメリカのアニメです。ご存じでしょうか。主人公のスポンジボブの家がこの建物ソックリです。よかったら「スポンジボブ 家」で画像検索してみてください。偶然なのかヒントを得たのかはわかりません。
18世紀に上流階級の間で流行ったことが連綿と続き、今でもおもてなしはパイナポーという文化が残っている地域もあるようです。スポンジボブの作者の意識にもあったのかもしれません。
ところで観賞用に花き業界で流通するパイナポーをよく観察すると、葉の縁に痛いほどのギザギザがある品種があります。品種名はわかりませんが、実が熟すと赤く染まる品種です。食用品種の葉にはギザギザは基本的にはありませんよね。パイナポーの葉には元々ギザギザのトゲがあり、19世紀に突然変異したトゲのない品種が発見され、今に至るそうです。なーるほど、観賞用も触っていただきたいので、痛くない品種を増やすべきでしょうねえ。
最後に、自宅でパイナポーを挿し木で栽培していた時期があります。2018年頃です。切花で流通していたパイナポーの枝を切り、挿し木ような感じで土に植えました。どうやら活着したようです。7月に挿し木をし、12月頃までは順調だったのですが、年明けのとても寒い日、東京で少し雪が降った日を境にダメになってしまいました。屋外でも屋根の下なら越冬できたかもしれませんが、後悔先に立たず。案外強いと思いました。皆さんも機会がありましたらパイナポーを育ててみてください。
↓絵・B桐生
それではみなさま、ごきげんよう。