花研コーヒーブレイク
ナデシコの快進撃
2012.07.26
なでしこジャパンが早速カナダとの第1戦に勝利した。幸先の良いスタートだ。
しかしなぜ開会式の前に試合を行うのだろう。開会式は全てのゲームの最初だとばかり思っていた。
それはオリンピック憲章で大会の開会期間が開会式当日から16日を超えてはならないと定められているからなのだという。サッカーのゲームは初戦から決勝まで18日間かかる。従って開会式より前に競技が始められるのだとか。
・・・うーん、あたくしのような素人には、それならば「16日間」と定める意味はどこにあるのかと思ってしまう。
サッカーだけは例外なのか、今後例外も出てくるのか、長引きそうなものは開会式前に始めればいいということであれば、16日で区切る必要ないじゃないか・・・なんて、そんなことに引っ掛かっている場合ではなく、なでしこジャパンの白星スタートには素直に喜びたい。
ナデシコといえば、もうひとつ、ナデシコ科のカスミソウ。
何とこちらも白星イメージで販売は白星。
なんと、「カスミソウは売らない」というポリシーを掲げていた某大手小売店が、この七夕になんと初めてカスミソウを販売したのだ。
なぜ七夕にカスミソウなのか。
カスミソウの産地さんが長い年月をかけ、七夕の花はカスミソウとプロモーションしてきたから。
七夕にカスミソウとしたのはなぜか。
カスミソウが広がる姿を天の川に見立てたから。
そんな強引な・・・と思いの皆さま。これは全く強引ではない。
日本では奈良時代のころから現在の七夕が生まれ、宮中では「花合」をするようになり、花の歌を歌い合うようになった。そして、986年7月7日に催された「花合」では、ナデシコが歌われている。
「撫子(なでしこ)は今日は心を通はして いかに貸すらむ 彦星の空」
「契りけむ 心ぞながき織女のさてはうつ臥す 床夏(←なでしこのこと)の花」
七夕といえば竹や笹を最初に思い浮かべる方が多いと思うが、実はナデシコの方が古くから七夕の供え物であった。七夕に竹が使われるようになったのは、江戸時代から。
“七夕の日の花はカスミソウ”とは、日本古来の風習に則ったマーケティングで、とても的を射ていると思う。種苗会社さんも、品種にはアルタイルやミリオンスター、ミルキーウェイなど夜空に浮かぶ星たちから命名している。
そうした産地さんや種苗会社さんの連携プレーもあり、誰もが知る超有名花き小売店の店頭に「七夕の花」として初めてカスミソウがお目見えした。7月1日から7日までの限定販売。
ラッピングペーパーも夜空に見立てて、群青色を採用。群青色に囲まれて立体的に散らばるカスミソウは、まさに夜空に広がる天の川のよう。
価格を777円に設定しているのは、7月7日にかけているのだろう。
ここではカスミソウは 決して従来のような脇役ではなく、主役として販売されている。
注目すべきはその商品名。
「カスミソウ」とは一言も謳っていない。英名の“ベイビーズブレス”(赤ちゃんの吐息)や、品種名の“ミルキーウェイ”(天の川)などが採用されている。
そういう意味では「カスミソウは売らない」というポリシーを貫いている。
この大手小売店の販売やマーケティングには見習うところが多い。
現在は平成4年の生産ピーク時に比べ、現在は半分以下にまで減少してしまっている。
しかし、水揚げ、花持ち、形、輪の大きさなどが改良されたばかりでなく、このように用途も変わり、時には名前まで替えて、完全に別の花として生まれ変わった。
これもすべて産地さんや種苗会社さんの地道で弛まぬご努力の賜物に他ならない。
今後、ナデシコ科のカスミソウの快進撃に注目したい。