OPERATIONAL PERFORMANCE花研コーヒーブレイク

作文三上

2009.10.29

 

小欄に何を書こうか悩むことがあります。ネタが潤沢にあり(ボロネタでも)、どれを選ぶかに悩むときもあれば、ネタが空っぽで悩んだり。

中国の宋時代の思想家歐陽脩(おうようしゅう)によると、文章を練ったり考え事をするときに最も考えがまとまる場所は、「枕上(ちんじょう)」「馬上」「厠上(しじょう)」の「三上」。寝床と乗り物に乗っているときとトイレということですね。

歐陽脩はおよそ1000年前の人ですが、現代に至ってもこのパターンに共感される方は少なくないと思います。

現に、某商品のテレビCMでは、「アイディアが思いつくところ」として、次の場所とパーセンテージを言っています。どのように調査したのか、CMからはわかりませんが、歐陽脩の言っていることと似ていて興味深いので、パーセンテージの高い順に列記してみます。
トイレ 32%
風呂 29%
ベッド 22%
公園(男性が歩行中の画像で) 18%
バス(乗り物) 17%
洗面所 7%
エアポート 4%
プール 2%
ステージ 1%
会議室 0%

バスと洗面所とのパーセンテージに開きがありますが、1位のトイレからバスまで、歐陽脩の言う三上に似ていると思いませんか?

私の場合は「枕上」が多いような気がします。大したことを考えるわけではありませんが、消灯後に沸々と思いやアイディアが湧いてきて、一度消した蛍光灯をまた点けて必死に殴り書きのメモをとり、気が済むと、またゆっくり安眠体制に入ります。後で読み返すとやはり大したことではなかったりしますが、書き留めないと気が済みませんし、グルグルと思考が止まらずなかなか寝付くことができません。

もう一つは「厠上」に代わる「入浴中」。ただ厄介なのは、お風呂場なのでメモをとることができません。忘れないようにと、同じことを何度も繰り返し繰り返し考えてしまうので、なかなか思考が進まず堂々巡りになってしまうこともあります。
しかし、忘れることを気にしなければ、このバスタイムはリラックスして考え事ができる最も良いタイミングの一つと言えるでしょう。CMの言う「風呂29%」も納得です。

馬上・・・さすがに現代の日本において馬上で思考を巡らせる機会に恵まれた人はなかなかいないらっしゃらないでしょう。(――朝の交通渋滞を回避したいあまり、馬通勤に憧れたことはありますが。)
代わりに歩行中とか、通勤途中だったりするのかもしれません。CM中のパターンでは「公園」や「バス」などがそれにあたるのではないでしょうか。あらゆる文明の利器の発明家も、日課としている散歩中にふと思いつく人が多いと聞いたことがあります。落ち着いて考え事をしたい場合は、机上で首を傾げるよりも、歩いてみるのがいいのかもしれません。

アイディアが浮かぶ瞬間は人それぞれですが、何か文章を作ったり考えたりする必要がある時は、あえて机に向かったり、「今度の週末にやろう」と思うより、日常生活の中で良い空気を吸いリラックスした方が、三上に近い良い環境を作ってくれそうです。日々緊張した瞬間からふと解放され、脳内のα波が出ている瞬間ほどいいアイディアが浮かぶとういことでしょう。

こういうことは昔から変わらないのですね。

ちなみに脳の重量は体重の2%程度と言われていますが、酸素消費量は25%にもなります。一生懸命考え事をすると、ダイエットにもつながるのでしょうか・・・。

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