花研コーヒーブレイク
45年を経て今、素晴らしい「シクラメンのかほり」に出合う
2020.11.26
こんにちは。ボンジュール内藤です。
昭和の名曲「シクラメンのかほり」(1975年)という歌謡曲があります。後世まで語り継がれていますので、昭和生まれでなくてもこの曲をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。布施明さんの歌唱力の高さが際立ち、また甘いマスクと清潔感とで、視覚と聴覚から国民の心を捉えたと個人的には思います。そして歌はシクラメンのかほりという嗅覚を想像させるもの。
ところが、のちにシクラメンには香りがないのではないかと話題になりました。原種のシクラメンには香りはあるのですが、品種改良が重ねられるうちに、一般的には香りがなくなった、あるいはないといっていいほどかなり薄まってしまったのです。
しかし、大田花きにお世話になり、年末セリ場でシクラメンの荷だしを手伝っていると、ほんわりと香りがすることに気づきました。多くのシクラメンを前にすると結構香りがあるものだな~と。それもまた品種によるものだったようで、微香×30鉢もあればよい香りがほんわりとしますが、埃っぽい香りがする品種もあれば、確かに全くと言っていいほど香りがしない品種もあります。
シクラメンは原種は良い香りがしますが、現在流通している園芸品種については全体的には香りがしないものが多いということでしょうか。そんなことでしたので、サントリーフラワーズさんからセレナーディアという紫系のシクラメンが発表されたとき、その爽やかな良い香りに感動したものでした。
さて、一昨日の小欄で今週中央通路に展示されているジャパンフラワーセレクションをご紹介させていただきました。
その中にいくつかシクラメンもありましたが、ひとつとても良い香りのするシクラメンがあるのです。
写真を撮りながら、シクラメンの前に立つと、どこからかシトラス系の良い香りが漂ってきます。どの花かと思ってキョロキョロするのですが、すぐに「あ~、あの花ですね」なんていうのが見当たらず、ひとつひとつの花に鼻を近づけてみました。
すると、
ぬぁんとこちらのシクラメンからうっとりするほど完成度の高い素晴らしい香りがするではありませんか!
シトラス系の香りに少しワクシーな(蝋のような・・・)香りが混じった香りと言っていいでしょうか。(※香りの官能表現は個人差がございます。また香りをかいだ時の時間帯や気温、湿度によっても異なりますので、この時の個人的な印象にすぎません)
矢祭園芸さまもローゼスピンクバイカラー万重EXという品種です。もうこれは本当に素晴らしく、クセなるような香りで、毎日香りを嗅ぎに出向いています^^;
話を戻しまして、昭和の名曲「シクラメンのかほり」では色とその印象が以下のように謳われています。
1番が真綿色したシクラメン→清々しい、出逢いの時の君のよう
2番が薄紅色のシクラメン→まぶしい、恋するときの君のよう
3番がうす紫→さみしい、後姿の君
これを現在流通していて、且つ強香のシクラメンに強いてあてはめれば、2番の薄紅色がローゼズピンク、3番の薄紫がセレナーディアあたりでしょうか。白系で香りの強い品種は未確認ですみません。ご存知の方がいらしたら教えていただけますと嬉しいです。
「シクラメンのかほり」のリリースから45年を経て、なんだかロマンティックなシクラメンが流通していますね。とても楽しくなります。中央通路を通ることがございましたら、ぜひシクラメンの香りにも注目してみてくださいませ。
それではみなさま、ごきげんよう。
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