花研コーヒーブレイク
透き通るようなあの青い花はイルカかツバメかオタマジャクシか・・・
2020.06.01
こんにちは。ボンジュール内藤です。
本日はNHKのラジオ当番でした。「マイあさ!」という番組で、今の市場の状況や人気の季節の花、その中でもとりわけおすすめのデルフィニウムをご紹介させていただきました。
ご紹介している間、NHKラジオニュースの公式ツイッターでは、話に合わせデルフィニウムの写真が次々の掲載されています。
デルフィニウムの飾り方や主な生産県もご紹介しました。
紀元前1700年にエジプトのアーメス1世の墓からデルフィニウムの乾燥した花が見つかったことが記録に残っているそうですが、私たちの想像以上に古くから人とのかかわりのある花だということに驚かされます。18世紀に英国で園芸品種として改良が重ねられ、日本へは明治初期に渡来したといわれます。
サムシングブルーといって、もともと英国では結婚式でウェディングブーケに差し色としてデルフィニウムが使われることもあります。
視覚的にとても清涼感をもたらしてくれる花ですね。
時間の都合でご紹介できなかったのですが、「デルフィニウム」という名前は、ギリシャ語のdelphin(イルカ)に由来しています。英語のdolphin(ドルフィン)と語源が同じですね。
なぜイルカか。ご存じの方も多いと思いますが、デルフィニウムの中には写真のような花の後ろにうしろにぴょこんと出ている三角帽子のようなもの(「距(きょ)」と呼ばれます)があり、この姿がイルカに見えたということのようです。
なんだかツボミに距が付いている状態はイルカよりもむしろオタジャクシ(tadpole)のようだ!と思いませんか?
デルフィニウムの名前は危うくtadpolium(タッドポリウム?)くらいに落ち着くところだったのではないか?と思いきや、名前を付けた人はもっとスケールが大きかったのですね。なにせアーメット1世の墓に一緒に埋葬されていたくらいですから、オタマジャクシ程度でまとめてはいけないのでしょう。
さて、実はデルフィニウムには和名もあって、日本ではある鳥の名前にちなみ名づけられています。
その和名は「ヒエンソウ」。
飛燕草
と書きます。
つまり、ツバメです。距の特徴を欧州ではイルカになぞらえ、日本ではツバメが飛ぶ姿になぞらえて命名したのですね。それぞれの感性の比較が面白い。日本は、七十二候でいえば4月上旬に「玄鳥至(つばめきたる)」を迎えます。切花のデルフィニウムは1年中流通していますが、ちょうど4月から流通量が増え始め5月、6月に最盛期を迎えます。デルフィニウムの季咲きはまさにツバメの到来と同じ。デルフィニウムを見て、青い空を飛ぶ燕を思ったのでしょうね。
以前はこの距があるものが多かったのですが、現在は、取扱い(鳥扱いではなく)の点から、ないタイプのものが多く流通しています。デルフィニウムの流通で最も多い品種は、ラジオでもご紹介させていただきましたが現在のところプラチナブルーとグランブルーといって、距のないタイプです。しかし、卓越した技術と多様なセンスをお持ちのフローリストさんに満ちている現在の花業界において(以前もそうですが)、距の有無にかかわらず様々な色と形の品種が受け入れられているようですね。
つい先日小欄でご紹介した赤いデルフィニウム「カーディナル」。周りの誰に聞いても市場流通では見たことがなく、それにしても赤が印象的なデルフィニウムだな~と一目で心奪われ、以前の品種としてご紹介したつもりでした。(5月21日小欄)
しかし、本日facebookでカーディナルを使って素敵なデザインをアップされているフローリストさんのページを拝見し、心躍りました。
フルールトレモロ藤野幸信様のfacebook↓
過去の品種だと思っていたカーディナルが市場流通品種として生きていたことに心躍りました。赤い品種もいいですね。
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ところで、みなさんは就寝される際、(例えば上向きになったとして)手のひらは上を向いていますか、それとも下を向いていますか?
↓こういうのはナシね。上か下かのどちらかでお答えをご用意いただければと思います。
この続きは明日(以降)の小欄にて!
それではみなさま、ごきげんよう。