花研コーヒーブレイク
オランダ版フラワー・オブ・ザ・イヤー
2019.01.15
1月6日の小欄にて、1月15日の雨乞いをしていました。この日に雨が降ると、農家さんにとっては豊作の兆しとなることから。
その甲斐あってか、なくてか、通りがかりの旅人が、
「雨が降ってきたよ」
と言って過ぎ去っていきました。
本日、大田市場周辺では朝から曇天。ぱらりと雨が降ったものの、すぐに止んでしまい、今は夕日がまぶしいくらいですが、全国的に天気が崩れています。生産品目によって曇天は悲喜こもごもでしょうが、豊作を予見させる「寒九の雨」を考えれば、この天気の崩れもwelcomeと言ったところでしょうか。
さて、大田花きでは年に一度「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA」として、商品品質のみならず、市場品質、社会的品質など、流通の観点から総合的にその生産者さまの出荷物を評価、表彰させていただいています。
これに似ているのか、はたまた通常の品評会的な位置付けなのかわかりませんが、オランダでも品種を評価・表彰する制度があるようです。記事によると、アールスメール花市場で行われたと。
切花、ガーデン用商材など4つのカテゴリーに分けられ、日持ちや品質のみならず、プロモーション活動やロジスティクス面なども評価対象となります。
例えば、切花カテゴリーでいけば、今回は第1位にトルコギキョウの‘ボタニック・ピンク’という品種が選ばれました。
一重の淡いピンクで、フラワーオブザイヤーOTA2012最優秀賞のセシルピンクに一見印象が似ています。
オランダのモンタナ・リシアンサス社の品種で、「野の花ブーケにもよく合うし、今日の時代精神(Zeitgeist)によく合っている」と評されていました。
第2位は、ヒマワリの‘プロ・カット・ホワイト・ナイト’。白いヒマワリです。
日本のマーケットにおいても、昨年‘ホワイトナイト’として注目を集めていた品種です。
第3位は、白いかがり弁のディスバッドマムのEtrusko White(エトルスコ・ホワイト)。
<これだけなぜかダウンロードが許された画像なし>
「エトルスコ」とは、古代ローマ以前よりイタリア半島中部に住んでいた先住民族エトルリア人のことですが、命名がそれに由来しているかどうかは確認していません。
オランダのアルカディア社の品種です。日本国内にも「エトルスコ」の名前でピンク色のかがり弁のキクが流通しています。
昨年、愛知県農業総合試験場東三河農業研究所からジャパン・フラワー・セレクションに出品されたディスバッドマムも、同様に白いかがり弁で、大変見事な品種でした。ブリーディング特別賞とニュースタイル特別賞に選ばれていて、仲買人の方も「仲卸さんに並ぶ日が待ち遠しい」と大絶賛でした。
特別賞はアルストロメリアのArdenne(アルデンヌ;ベルギー東部あたりの地域名に由来)という品種。
大田花きの取り扱いの中でも「アルデーヌ」という品種名で似たようなパープル系のアルストロメリアがあります。
このことかもしれませんが、確証なしです。
ただ、昨年、一昨年あたりから日本のマーケットでもパープル系の品種の人気が盛り上がってきたことを感じます。ここで、パープル系の受賞はそのトレンドと何かリンクしているでしょうか。
こうしてみると、オランダで評される品種、あるいはそれに極めて似ている品種は日本でも流通していて、同様に高い評価を受けているように思います。人気の花の傾向も、SNSなどの普及も大きく影響し、瞬時に世界で共有されるようになってきているのではないでしょうか。
花は、さらに国際商品となってきているとともに、花マーケットのグローバル化を感じます。
★ほかのカテゴリーの受賞品種、及び更なる詳細はこちらからご覧ください(Hortibizのニュースにリンクします)。
★ロイヤルフローラホランドアースルメールHPからの発表はこちら。
↑ガーデンプランツ部門の第3位に、Anemone Wild Swanが選ばれています。草姿が極めてシュウメイギクに似ていますが、同じキンポウゲ科ですから、それもそのはず。
この日本的、かつ野趣味溢れる品種の選出もなかなか興味深いですね。