花研コーヒーブレイク
勘違いから名付けられた「チューリップ」
2018.12.03
花市場ではいよいよチューリップの季節が到来いたしました・・・もしくは、「いたします」かな。
チューリップと一口に言っても、多品種存在し、毎年仲卸さんで拝見するたびに新しい品種もあり、それぞれに表情が異なるところが魅力のひとつのように思います。
チューリップは生産量はともあれ、国内で最も知名度の高い花の一つといえると思いますが、このチューリップという名前はどうやら勘違いで付けられたらしいのです。
よく言われているように、チューリップの原産地は中近東。それがトルコで品種改良が重ねられ、園芸品種は16世紀にオランダに渡るわけですが(原種は十字軍によってヨーロッパにもたらされる)、チューリップの名前を聞かれたトルコ人通訳が、「このターバンに似た花か?」と問い直したところ、質問をした方はターバンを意味する「チュルバン」と教えられたと思い、この言葉が伝えられてチューリップになったのだとか。
ちなみに、トルコ語ではチューリップのことをラーレ(lale)といいます。
トルコ人通訳がもし、聞き返さずにlaleと言っていたら、いまどきチューリップの名前はラーレに近い音だったかもしれません。
フランス語ではテュルプ(tulipe )、ドイツ語ではテュルペ(Tulpe )なので、少なくともこの勘違いがヨーロッパのスタンダードになっていきます。
日本語では一応、鬱金香(ウコンコウ)という和名があるものの、圧倒的にチューリップの名の方が一般的。
・・・と思うと、ちょっとした勘違いが後世に、また世界的にかなり大きな影響を及ぼしているわけですね。
なんとなく、テレビで根拠のない健康情報がどんどん蔓延し、人々の信じるところとなり、一般常識として認知されるような現象に似ているようにも思いますが、まあ実害がない分ちょっと違うでしょうか。
名前の由来はさておき、チューリップを見ていると、その可愛さは罪作りにさえ思えてきます。
今年もどのようなチューリップが出荷されるか楽しみです。