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ファイトプラズマ

2018.08.06

ファイトプラズマ(Phytoplasma)は、植物に病害を起こし、ひどい場合には枯死させてしまう細菌として知られています。

この細菌が、最近ではなく昔から、農作物を枯らせ甚大な問題を引き起こしています。日本では少なくとも江戸時代には、この発生が記録されています。植物の葉が奇形化し、花や実をつけなくなることから、植物の「ゾンビ化」と表現されることもありました。農産物がこのファイトプラズマにかかり、ゾンビ化すると甚大な被害を及ぼします。ヨーロッパではリンゴやブドウ、開発途上国で生産していたココヤシとトマト、イネ、キャッサバ(イモ)、サツマイモなどに感染した事例が報告されていますし、日本でも過去には桑に奇形が生じて養蚕業が大打撃を受けたこともあります。園芸界でも、アジサイでガクが色づかない「葉化病」がファイトプラズマによって引き起こされ、現在でも深刻な問題となっています。

 

このこの奇形化が「ファイトプラズマという細菌によるものだ」と判明したのは1967年

うーん、割と最近。

1600年代に現象が確認された割に、原因が20世紀に判明とは、農業界にとってかなりの難敵であることが想像できます。そしてこれまでファイトプラズマの治療法はないとされていました。

 

そこに、本日の日本農業新聞第1面にビッグニュース。東京大学の研究グループが「ファイトプラズマの治療薬を発見した」と。

これまではファイトプラズマを培養できなかったため、薬の効果を確かめることができなかったそうですが、この度シュンギクにファイトプラズマを感染させて培養する方法の開発に成功。3種類の抗生物質に効果があることを確認したとあります。

これはすごいですね。「シュンギク」に辿り着くまでにも、相当の試行錯誤があったことでしょう。

何百年もの間、植物の不治の病とされていたファイトプラズマ症の治療に、明るい光が差したのですね。これは世界の農業界にもビッグニュースです。途上国の発展にも大きく寄与することが期待されます。

不治の病とされ、多くの被害者を出した赤痢の治療薬が見つかったような感動に似ているでしょうか。ともあれ、発見した人たち、すごすぎ。地球を明るくするニュースでした。

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