花研コーヒーブレイク
卯の花
2018.05.07
いつもお世話になるスーパーマーケットでは、昨日シャクヤク3本300円で販売していました。
コリャ安い。値札を見間違えたかと思い、何度も見返してしましました。
7割ほど開花していましたが、価格だけを考えれば、市場仕入れとあまり変わりませんな。今朝会社で雑談的にその話をしていたら、みな驚いていました。
さて、今日はシャクヤクではなく卯の花のこぼれ話。
今朝、山手線が混雑気味で本を開けず、出入口の上にある液晶画面を見ていたら、「卯の花」に関するクイズが流れていました。
「豆腐の副産物としてできるおからを卯の花ともいうが、卯の花とは何の花のこと?」
正解は「ウツギ」。
なんですって。これまた知らなんだ。
ウツギとは空木と書きますが、幹が空洞であることから、「空ろの木」、ウツギと呼ばれるようになったようです。
ウツギはユキノシタ科の落葉低木。
元々は、ウツギより卯の花と呼ばれていたのが先のようです。
『枕草子』に、ほととぎすは「卯の花、花橘などに宿りをして、はたかくれたるも、ねたげなる心ばへなり」と、卯の花にホトトギスが隠れていた様子が描かれています。
ほかにも、
「時わかず 降れる雪かと見るまでに 垣根もたわに咲ける卯の花」(後撰集)
「うのはなの波か雪かとおぼえけり さ見えしことは桜ののみかわ」(広本拾玉集)
など、古典では白いものが卯の花に(もしくは卯の花が白いものの象徴として)よく喩えられていたようです。
「卯の花に 兼房みゆる 白毛(しらが)かな」(おくのほそ道)
などと、白髪に喩えられることもしばしば。
おからが卯の花と呼ばれるようになったのも、白いおからがウツギの白い花が開花している状態に似にていることからなのだそう。クイズでは、おからの栄養価が高くお勧めですよというくだりでした。
日本人にとってウツギは昔からなじみ深い植物だったのですね。
4月を卯月というのも、ウツギが旧暦4月に開花することから、卯の花月→卯月と呼ばれるようになったという説も。
そういえば、童謡「夏は来ぬ」の冒頭でも卯の花とホトトギスが登場します。
「卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ」
ウツギもホトトギスもちょうど、初夏の今頃の風物詩ということですね。市場でも梅花ウツギが5月に出荷ピークを迎えます。