花研コーヒーブレイク
シャクヤクシーズン到来!
2018.04.09
大田花きの事務所の前に展示された静岡県の野島茂一郎さんのシャクヤク。
今年もシャクヤクのシーズンが到来したかと思うと、テンションが上がります(個人的な意見です)。
今回の展示の中でも、こちらの品種↓は、あるポイントにおいて秀逸。そのポイントとは・・・
芳香です。
品種名はまだついていないのか、わからないのですが、なにより香りが突出してトレビア~ンなのです。
シャクヤク特有のワクシーな香りはありますが、それと見事に調和したバラのダマスクモダンの(ような?はたまたスイートピーのようなシトラス系やグリーン系が含まれるような)強香がするのです。
このような香りを放つシャクヤクは、他にもあるかもしれませんが、少なくともアタクシが大田市場の中央通路に展示されたシャクヤクを拝見している限りでは、出合ったことがありません。
恐らく誰かに目をつぶって香りを嗅いでもらったら、多くの人はバラと答えるでしょう。しかも芳香バラと。これはスゴイですよ。(個人的意見です。再び)
漢字では芍薬と、「薬」の字が含まれているように、日本、及び東洋では古くから、その根を薬草として使ってきたわけですが、シャクヤクを意味する英語のpeony、また、フランス語のpivoineにも医薬の意味が含まれています。
シャクヤクの根を初めて使ったというパイアンは医薬の神として崇められており、ローマでは彼のことをpaeoniaと呼んでいました。この呼称が現在のシャクヤクの学名になっています。
それが英語ではpeony、フランス語ではpione→pivoineと呼ばれるようになりました。
ギリシャローマ時代の博物学者プリニウスの『博物誌』には、シャクヤクのタネと根の薬効12か条が挙げられていて、万能薬とされていたことが記載されています。俗信が多かったようですが、それでも17世紀ころまではその薬効が信じられていたのだとか。今でも確かに漢方薬にシャクヤクの根が使われていますので、まんざら俗信ばかりでもなかったとは思いますが、科学的に証明されていないことも多々含まれていたことでしょう。
また、シャクヤクを植えた場所には悪魔が近寄らないとか、身に付けていると悪魔の魔法にかからない、再難を逃れることができるとも信じられていたのだそうです。昔からあらゆる形で薬効が実感されていたのかもしれません。
そんなことを思いながら帰路に着くと、通勤路にある生花店さまでもシャクヤクを販売し始めていました。つい先日までチューリップがたくさん並んでいたと思っていましたが、スノーボールやデルフィニウム、シャクヤクなどあっという間に初夏のイメージの花に入れ替わりました。
今年は3月、4月の陽気が良かったので、いつもより少し早いでしょうか。
ゴージャスで華やかな存在感、開花までの過程が楽しめ、シャクヤクはこれまた大変素晴らしい花ですね。観賞用のシャクヤクは心のサプリメントとして効果が期待できるといいのですが。
生活者のみなさまに気軽にたくさんシャクヤクを楽しんでいただけるよう流通することを願います。