花研コーヒーブレイク
アルストロメリア
2018.03.13
朋あり遠方より来る。また楽しからずや。数年来の再会。おしゃべりに花が咲く。その会話の中で、
「この前、親が家に飾った花がすごく長持ちして、長持ちして、しかもいつまでもすごくキレイで、ビックリした!
名前は分からなかったんだけど、本当にいつまでもきれいでねぇ~」
と。特徴を聞いてもわからず、その花を特定できない。
ところが、その会話後、拙宅に上がってもらったときに開口一番、
「あ、コレ!この花!ウチですごくきれいだったのコレよ」
と指差した花こそ、アルストロメリアだった。
そうか、メリアだったのねん。
実は、時を同じくして偶然、別の2人からもアルストロメリアがスゴイという話を聞いた。3人ともアルストロメリアの名前すら知らないし、名前を何度言っても覚えることもない花素人だが、花持ちといつまでも変わらず満開でいることが素晴らしいと口をそろえて言っていた。
周りの人に言われたことも大きいが、花き業界に身を置くようになって今ほどアルストロメリアの良さを見つめ直すこともなかった。スタンドから花束、アレンジメント、パック加工までどのような形状の商品にも向いているし、同時にどのようなシーンでも重宝される。アルストロメリアはまだまだ可能性を秘めているように思う。
そんなアルストロメリアを観察しながら、事務所にもデスク上やカウンターなどにあるアルストロメリアの花粉を取っていたところ、あることに気付く。
ん?
あら?
葯(やく)の色が花の品種によって違う・・・・と思ってあちこちから集めていると、花と葯の色に関連性がありそう?なんてことに気付く。
なんだかこうして並べると漢方薬みたいですが、アルストロメリアの葯です。
白いアルストロメリアは葯も白グリーンですし、黄色は確かに黄色が強くなる。濃い紫の葯は紫色で濃いピンク色の葯は赤が強い。もともと赤い親かそのまた親から生まれたのかな~なんて思ったり。
そんなアタクシのテキトーな推察は何の意味もなく、花弁と葯の色には花の構造上の理由がありそう。農研機構花き品質解析研究チームの資料(2008年)よると、花の形には一つの決まった基本構造がある。ガク、花弁、雄しべ、雌しべの構造は、A・B・Cという3種類の遺伝子によって決められている。(ABCモデル)
・A遺伝子が働く場所=ガク
・AとB遺伝子が働く場所=花弁
・BとC遺伝子が働く場所=雄しべ
・C遺伝子が働く場所=雌しべ
※実際、育種された品種はこのABCモデルだけでは説明できない構造のものも多数あるとも記載。
つまり(としていいかわかりませんが)、この理論からいけばB遺伝子が影響している花弁と雄しべ、その雄しべに付いた葯とも色の相関関係があって然りということなのかな。なーんて、今朝の葯取りで思った。アルストロメリア、いいね。