花研コーヒーブレイク
花言葉の由来
2011.07.15
一つの花で花言葉を複数持っているものがあります。しかもその花言葉が全く正反対の意味だったりします。
例えば、ムスカリ・・・(季節外れですみません。ふと頭に浮かんでしまったもので・・・)
ネットでちょこちょこっと調べると、「通じ合う心」「寛大な愛」「明るい未来」などというポジティブな花言葉のほかに、「失意」「絶望」などネガティブな花言葉も表示されます。
はたまたホウヅキといえば、「心の平安」「自然美」「私を誘ってください」という花言葉に加え、「頼りない」「半信半疑」「偽り」「欺瞞」などもあります。
花言葉を紹介しながら花をお勧めしたり、人に差し上げたりするときは、一体どの花言葉を信じればいいのか、分からなくなってしまいます。どうしてこのようなことになるのか、不思議に思ったことはありませんか?
マミフラワーデザインスクールの川崎景介校長先生が、7月12日(火)のJFMAアフタヌーンセミナーで講演された際に、その答えを教えてくださいましたので、ご紹介いたします。
その理由はどのように花ことばが決められたのかということに隠されています。結論から申し上げますと花言葉を作った作家によって異なるということなのです。
例えば、ウィリアム・シェイクスピアはその作品『ハムレット』の中でローズマリーの花言葉を“記憶”としています。
「これがローズマリー、物を忘れないようにする花よ。ねえ、愛しい方、お忘れにならないでね」
という一節があります。ヨーロッパでは古代ギリシャ時代からローズマリーが頭をすっきりとさせ、記憶力を増す働きがあると信じられてきたために、その作品の中でローズマリーをそのように用いたのかもしれません。元々ヨーロッパでは古代ローマ・ギリシャ神話からも花言葉が多々誕生しているように、宗教的なものが主でしたが、このシェイクスピアのころから、花に感情的、世俗的意味を付加するようになったようです。
また、オスマントルコでは一夫多妻制だったため、、奥様達は花や物にそれぞれの意味合いを含ませてスルタンに分からないよう内緒話をしていたそうです。これらの花や物に込められたメッセージはセラムと呼ばれ、例えば「本日はスルタン様はご機嫌斜めのご様子よ」などという“目線合わせ”などもセラムを用いていたそうです。
そして、この習慣を面白いと思ったヨーロッパの複数の人たちがセラムを研究し始め、18世紀初頭の頃から徐々にヨーロッパに紹介されていき、19世紀初頭には、シャルロット・ド・ラトゥールによって“Le Language des Fleures”(『花言葉』)という本にまとめられ、ヨーロッパ、アメリカ大陸へと広がっていったそうです。
なるほど、複数の花言葉作家がいたから、意味の異なる花言葉が生まれた。どれが正しいとか、間違っているとかではないので、使う時は好みや都合に合わせて使っていいということですね。
考花学の授業でまた一つ謎が解けました。
川崎先生ありがとうございましたm(_ _)m