花研コーヒーブレイク
「ふしぎな植物」著者藤田雅矢先生のセミナー★
2017.10.04
『捨てるな、うまいタネ』や『ひみつの植物』など、以前から個人的に大変親しんできた書籍の著者で農学博士の藤田雅矢先生のセミナーに参加させていただく機会を得ました。根津駅(文京区)の近くにある「緑の本棚」というグリーンと中古本を販売しているお店で開催されました。
小春日和の昼下がり、開け放った店内に座り背中に外の空気を感じながら緑と古本に囲まれ、その店内で営業しているカフェのコーヒーをいただきつつ見上げるほど間近でお話を拝聴でき、とても貴重な体験をさせていただきました。
こちらが藤田先生。
農学博士という肩書を持っていらっしゃるので、どこかの研究機関にお勤めかと勝手な妄想を抱いておりましたがなんと小説家なのです!しかもSFが多い??
ここだけの話、藤田先生はもっとおじーちゃんなのかと、これまた勝手な妄想を膨らませていたわけですが(藤田先生、すみませんm(_ _)m)、アタクシの想像よりずっとお若くてとてもフランクでお優しい雰囲気をお持ちの方でした。
受付をするテーブルの横にずっといらしたのですがご本人と気づかず、アシスタントの方かな~くらいに思っていて、「いつ、どのあたりから藤田先生がご登場されるのでしょう・・・」と店の奥ばかりに気を取られていたら、テーブル脇に立っていらした方がおもむろに「では、始めます」とお話をし始めたので、椅子に座っているアタクシはその場でひっくり返りそうになりました。
お伺いする勇気はありませんでしたが、どこで購入したのかキノコの独特なイラストがプリントされたTシャツも、先生のこだわりで着てきてくださったものと、これまた勝手に察しています。
さて、今回のセミナーは、「この50年で私たちの周りの植物は変わったのか」というテーマで開催されました。
テキストは藤田先生が小学校の時から愛用している『植物の図鑑』。小学館より昭和31年に初版が発行されたものです。
ご自身所有の1冊では聴講者が見ることができないのでと、ヤフオクで100円で落札して、もう1冊持ってきてくださり、聴講者全員が手元でゆっくり拝見することができました。このようなお心遣いも素晴らしいと感じます。
もったいないので(?!)内容の全てはここには記しませんが、例えば面白いのは出版当時「プランター」が存在しないので、「種まきの方法」のページには“種まきの箱”にタネを撒くよう指示されています。木枠の四角い箱です。
さらには、現在私たちが(お陰様で)当たり前のように目にしているリトープスが紹介されているのですが、写真はないのでイラストが掲載されています。当時は編集の人も実物のリトープスを見たことがないのでしょう。リトープスは地面にペターッと広がる2枚の薄い葉のように描かれていて、更には、リトープスとリトープスの間の地面から花が咲いているのです。通常は2枚葉の間から花が咲くのですが、異なる個体の間に花が咲いているのです。
このようなことも今だからこそ実際と異なることがわかりますが、当時はリトープスを見たことがある人はほとんどいらっしゃらないわけですから、チビッコたちもどんな植物だろうと興味深くイラストを見ていたに違いありません。
藤田先生曰く、花よりさらに大きく変わったのは野菜と果物。
ピーマン、オクラ、レタス、ブロッコリーなどは図鑑内で紹介がないため、出版当時には流通がなかったことがわかります。
しかし、カリフラワーは紹介されているのです。「花野菜」との名称。(昨日台湾料理に行ったら、中国語のメニューに“花野菜”ってあったなー)
ブロッコリーは意外にも後発。「みどり花野菜」という名前で登場したそうです。
植物へのこんなアプローチも面白いですね。
(今回のセミナー開催も紹介されていました)