花研コーヒーブレイク
ニースとラナンキュラス
2016.07.20
世界有数のリゾート地ニースでおぞましい事件が起こりました。ニースでテロとは、最初は誰もが耳を疑ったことでしょう。
ニースと言えば、すぐ東にモナコ公国、少し西に行けば国際映画祭で有名なカンヌもあり、1年中温暖で美しい街です。私もニースを初めて訪れたときには、「将来お金が使いきれないほど手に入ったら、ニースに別荘を買おう」と思ったほどでした。
このニース周辺の地域は花とも無縁ではありません。
例えば、この春に新規お目見えしたラナンキュラスのポンポンシリーズ。ラナンキュラスとしては想定外の花姿から、注目を集め、1シーズンで認知が一気に広まったこの品種を世に排出したのは、ビアンケリシャというイタリア北西部の種苗会社。
ニースから東に車で1時間ほどのところにあります。
(↓ラナンキュラスのポンポンシリーズ。グリーンがシレンテ、ピンクがハーマイオニー)
ある種苗会社の方が教えてくださったのですが、ビアンケリ社に行くには、ニースから途中モナコを通って行きますが、この辺りは赤い岩だらけの街なのだそうです。
ちなみに、ビアンケリ社の社長さんはノージャケット。白のものすごく糸の細いコットンシャツを素肌に着て、絵に描いたようなイタリアの伊達男さんなのだとか。目に浮かぶようですね。
今度はニースから西に1時間ほど進むと、マルセイユの手前にComptoir社(コンプトワール)というラナンキュラスの育種会社があるそうです。こちらはブドウの畑だらけのところ。(おいしいワインがありそう!)
オーナーは50歳代の方でチェックのシャツに作業ジーンズ、娘の乗馬教室が月に50ユーロもかかるとこぼしているような方なのだとか。50ユーロといえばおよそ6,000円といったところでしょうか。
そんな社長さんですから、ラナンキュラスは一般的な品種に比較的安価に種苗を供給することを旨としていらっしゃるそうです。
この対照的な方針を持つ育種会社は、いずれもラナンキュラスとアネモネの育種を手掛けていて、ニースを中心に地中海に沿い、東西に延びる両ウィングのように位置しています。
日本国内のラナンキュラスを扱う種苗会社のみなさまは、ニースを拠点にこれらの会社を訪問するそうです。ニースは心理的に近い都市なのでしょう。この度の事件に大変心を痛めていらっしゃいました。
ニースの街とそこに住む人々に、1日も早く平穏な日々が戻ることを祈っています。