花研コーヒーブレイク
母の日シリーズ3<最終回>:カーネーションの語源について
2016.05.05
カーネーションは地中海沿岸原産のナデシコ科ナデシコ属の植物。
和名を「オランダナデシコ」や「オランダセキチク」といいます。日本へは徳川家光の時代にオランダから伝わったと言われます。日本原産のナデシコと同属の植物で、オランダから入ってきた花となれば、オランダナデシコと呼ばれることも理解できます。
では“カーネーション”という名前はどこから来たのでしょうか。それは大きく分けて2説あると言われています。
【有力説①】
戴冠式のことを英語でcoronation(コロネイション)と言いますが、以前はカーネーションで花冠を制作し、戴冠式に使っていたことから、このcoronationが転訛してカーネーションになったという説。
【有力説②】
人の肌の色に似ていることから、「体」とか「肉体」を意味する中世ラテン語のcarnを語源とする説。
世間的には上記説①の方が有力という傾向にあるようですが、②も実は捨てきれないと密かに思っています。(←ココだけの話ですよ^^)
【②が有力だと思う理由 その1】
何と言っても「音」がそのままズバリでしょう。「スペル」も。
【②が有力だと思う理由 その2】
古の人にとって「肉体と花(魂の象徴)」というのはとても近い存在だったのではないかという推測から。
reincarnationという英単語があります。「魂の生まれ変わり」、つまり「輪廻転生」に近い意味ですが、この言葉を分解すると次のようになります。
re(再び)+in(入る)+carnation(肉体)
となります。「魂が再び肉体に入る」ことからこの単語が生まれたわけですね。carnationはcarn(肉、体)に由来しています。carnを使ったほかの単語としては、カーニバル(carnival、謝肉祭)がありますから、私たちにとっても多少なじみのある言葉かもしれません。
死者を葬るときに花を手向けた古の人たちは、また魂がどこかに宿り再生することを願っていたはずです。それこそ輪廻転生(つまりreincarnation)の概念です。
カーネーションの原種の色が肌色に近い淡いピンクだとしたら、肉体という言葉のcarnationと名付けてもおかしくありません。
【その他もちゃもちゃ考えること】
「カーネーションが使われた戴冠式が行わた時代」と「カーネーションという名前が生まれた時代」というのは一致しているのか、ここに一つのヒントがあると思います。
自生する地域では、戴冠式が行われる前から名前があったはずとも思いますが、もしかするとその時はpink(ナデシコ)だったかもしれませんし、ここはもう少し調べてみないとわかりません。
・・・ということで、どちらが語源なのか、はたまた両方なのか分からないのですが、母の日を目前にもちゃもちゃと語源について考える花研ブロガー2号なのでした。
あ、今日はこどもの日だった!みなさま菖蒲や葉菖蒲で是非男児の成長をお祝いください。
また、こどもの日の制定意義は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ということなので、是非母の日ウィークとしてお母様にも感謝の意を示すきっかけとしていただければと思います。